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今回紹介いたしますのはこちら。

「前科者」第4巻 原作・香川まさひと先生 作画・月島冬二先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、薬物依存だった女性、多実子の担当になった阿川。
自己否定の気持ちが強い多実子の扱いに当初は苦心することになった阿川ですが、保護司の活動で知り合ったみどりやよしの協力もあり、徐々に打ち解けていくことができたものの……?



4人はフリーマーケットに来ていました。
多実子は二つの皿のどちらを買おうか迷い、阿川ならどちらを選ぶかと尋ねてきます。
玄関に飾るつもりだと言うその皿は、幾何学模様のような柄の皿と、太めの線でカボチャやナスなどの野菜が描いてある皿の二つ。
玄関に飾るんだったらこっちかな、と野菜の柄を手にした阿川。
するとみどりがやってきまして、実篤もどき、「仲良きことは美しき哉」、とサラを見て声をあげました。
実篤、武者小路実篤と言えば有名な小説家でありながら、こう言った絵と文章を添えた色紙を描いたことでも有名な人物です。
ですがよしは今一つピンと来ないようで、名前は聞いたことありますけど、頭がつるつるの横顔の人ですか?とちょっと惜しい人物像を思い描いていました。
それは正岡子規、とみどりが突っ込むと、思わずクスリと笑ってしまう阿川。
ですがその微笑ましいやり取りの横で、多実子は暗く沈みこんでしまうのです。
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私は何にも知らない、と。

野菜の柄のお皿を買った後、また別のお店を見て回っていますと、みどりがあ側に二冊の本を差し出します。
この前言っていた小説、ネットで2冊買ったから1冊やるよ、文庫とポケミスどっちがいい?
そう尋ねてきたみどりに、選んでいいならポケミス版で、と答える阿川。
やっぱ本好きならそうくるよな、にやりと笑うみどり、ポケミス版の粗油説を手渡しますと、今度は阿川が実篤を持っていたことを確認し、よしに貸してあげなよと言いました。
勿論と頷く阿川に、よしは私は目が悪いからいいですよと断るのですが、みどりは最初の一行だけでも読みなと半ば強引に貸す約束を取り付けます。
その間ずっと押し黙っていた多実子は、私も読めって言われるのかな、と無言のまま思いめぐらすのですが……
多実子には声がかかりませんでした。
やっぱり私に入ってくれなかった。
一層暗く沈みこんでいる多実子に気が付かず、よしに本を貸すため一緒に自宅に行こうとする阿川。
それじゃあまた明日、と別れようとするのですが……
阿川以外は皆多実子が落ち込んでいることに気がついていました。
いの一番によしが、用事がありました、と阿川の家に行くことを断り、よしは多実子の元へ。
みどりはそれを見送りつつ、ようやく何か変なことに気が付いた阿川が追いかけようとするのを止めるのです。
よしさんに任せときゃ大丈夫、と。

ドーナツチェーン店で一休みするよしと多実子。
よしはコーヒーを飲むとこう言いました。
美味しい、疲れたからおいしいのかしらね、誰かのために物を選ぶなんて一大事でしょ?
貴方も疲れたんじゃない?お茶碗選んであげたんでしょう?
でもみどりさんは喜んでくれた、だからそれは心地よい疲れ、コーヒーもおいしい。
笑顔で同意する多実子に、よしは先ほどの皿を見せてくれるよう頼みます。
よしはあの皿を見ると、描いてある野菜三つを、阿川とみどりと多実子にたとえ、三人いるわね、と言いました。
多実子は同意しようとするものの、それじゃよしさんがいません、と悲しそうな顔で答えるのです。
よしはと言いますと……その言葉を待っていたのでしょう。
わたし?
やさしいのね、あなた。
貴方の一言で、コーヒーがもっとおいしくなったわ。
笑顔でこたえるよしの気持ちで、だいぶ多実子の心も安らいだのでしょう。
私も、すごくおいしいです、と笑顔でコーヒーを口に運ぶのでした。

後日、阿川はコンビニに尋ねてきたよしに実篤の著書を貸しました。
どんな話かと聞いてきたよしに、先入観がない方がいいと思う、ちょっと読んでつまらなければそこでやめてもいい、と言葉を添え……そして、多実子はどうだったかと尋ねます。
よしはと言うと、どうだったかは答えず、強い石の宿った目でこう呟くように言うのでした。
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彼女、私も助けます。
罪滅ぼしです。

多実子の精神状態もだいぶ安定し始めたようです。
あのお皿を玄関に飾り、始めたフードコートでの仕事もそつなくこなしている様子。
ですが……休憩時間にバックヤードで昼食を食べているときに、その男は現れたのです。
黒いスーツに身を包んだ、いかにもただものではない雰囲気を身にまとったその男……佐藤。
久しぶりだね。
ここ自給いくら?どう、調子は?
淡々とそう尋ねてくる佐藤。
多実子は佐藤を見た瞬間から顔を青ざめさせ、冷や汗を流し……
まともに顔すら向けず無難に、楽しいですと答えました。
楽しい?
薬やってるから?
佐藤はぶしつけにそう決めつけてきます。
すぐにそれは否定する多実子なのですが、佐藤はまたも無神経な……いや、あえて多実子の気持ちが揺らぐような言葉を選んでこう言うのです。
楽しいんだ、意外だな。
続かないよ。
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いいことは続かない、だって今までずっとそうだったでしょ?
多実子は立ち上がり、必死の思いで薬はもうやめました、もういりません!と声をあげるのですが……
佐藤はそんな多実子の髪をつかみ、強引に引き倒しながらこう告げるのです。
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誰がお前に薬を売るなんて言った?
多実子を地面に投げ捨てると、佐藤はまた来るから、と言い残し……去っていくのでした。

せっかく安定していた多実子の心はひどく掻き乱されてしまいます。
胸を襲う動機は止まらず、身体は震え、呼吸も荒いまま。
なんとか自宅についたものの、思わずよろけて壁に手をつこうとした際に、かざっていた皿に触れてしまい……
皿は、ばらばらに割れてしまうのです。
阿川が選んでくれ、みどりやよしも含めた皆との関係を象徴するかのような皿が。
それはまるで、多実子の気持ちと、これからに立ち込める不安を象徴するかのようで……


というわけで、多実子編の後半が収録されている今巻。
よしの存在のおかげもあり、多実子の気持ちはだいぶ落ち着いたのですが、佐藤の登場ですべてがぶち壊しになってしまいました。
多実子を依存に突き落とした売人である佐藤。
お前に売るとは言っていない、とは言うものの、当然それは欲しい気持ちをあおるための手段の一つでしょう。
佐藤の登場で精神が不安定になったことで、多実子の薬を求める気持ちは一層強くなることは真tがいないでしょう。
果たして多実子は絶えることができるのでしょうか?
阿川はそんな多実子を守り切れるのでしょうか?
みどりや、よしは……?
立ち込める暗雲、そして予想だにしなかった展開が待っている多実子編、最後まで目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!