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今回紹介いたしますのはこちら。

「怪物少女は初恋の夢を見るか?」第1巻 在間りしん先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


在間先生は16年ごろから活躍されている漫画家さんです。
17年からKADOKAWAさん系列のwebコミックで「暗黒騎士団長と青春ガール」、18年には「女騎士『姫には死んでいただきます。』」を相次いで連載。
その傍らで18年、ジャンプ+に本作のひな型となる「天才少女は平凡な日常の夢を見るか?」を発表。
好評を博し、19年より本作の連載が開始されました。

そんな本作は、日常コメディにラブコメ要素を加えた作品です。
「怪物少女」といっても主人公に当たる少女は人外の存在と言うわけではないのですが、その能力は間違いなく怪物で……?



御門台鏡子と草薙奏助の出会いは、幼稚園の頃でした。
いち早く鏡子の「異常さ」に気が付いたのが、何を隠そう奏助なのです。
皆が庭で遊んでいるその時、たった一人強御室に残っていた鏡子。
ぽとりと柿の実が枝から落ちたのを見ると……何やら閃き、奏助を呼びました。
聡介が呼ばれるままに教室に向かいますと、そこにはびっしりと数式が並んでいて……
わかったぞ、柿は落ちたんじゃなくて、地面に引っ張られたんだ!
……幼稚園児にして、自力で引力の存在を解明する。
鏡子はまぎれもない、「怪物」だったのです!

勿論そんな天才を世界が放っておくわけがありません。
彼女は瞬く間に時の人となり、数多の賞を受賞する輝かしい功績をあげて行きます。
12歳になるころには、過去存在した全ての「天才」を置き去りにしたとまで言われ、あげくの果てに異次元の存在からも頭脳が狙われているなどと言われる始末。
もてはやされ続けた彼女は妙に存在な性格になってしまいましたが、それでも地球人類、いや、行ってみれば全宇宙人類にとって欠かせない存在になっていたのです。

一方の奏助は、ごく普通の青春を送っていました。
いや、ちょっとはしゃぎ過ぎて怖い学生さんから目をつけられてりもしてしまったので……15の春、高校生活からは目立たずひっそり生きて行こう、と決意しちゃうのですが。
出る杭は打たれる、中学時代と同じ轍は踏まない!
そう硬く自分に誓う奏助なのですが、そこでそんな決意と全く逆の自己紹介をするものが現れたのです!
おめでとう、諸君らは幸運だ!
自己紹介?そんなもんウィキペディア見といてください。
私です。
まぁこれで十分でしょ?
よろしくぴょん!

現在の地球上でおそらくもっとも出ている杭が同じクラスにやって来てしまいました。
平穏な学校生活を送るためには、彼女に近づいてはいけない!
新たな誓いを胸に抱く奏助なのですが……鏡子は何かと奏助の方を振り返り、髪をファサッとかきあげたり、くるっと逆側から振り返ってみたり、何やら体を上下させてぴょこぴょこ弾んでみたり、謎の行動を仕掛けてまいります。
何を言とするものなのかさっぱりわからない奏助がただただ戸惑っておりますと、鏡子は不満げな顔を浮かべまして……

やはりといいますか、鏡子はクラスから浮いてしまいました。
体育の時に転んでちょっとしたけがをしたら、保健室に行く権利ができたんじゃないかと喜んだり、授業中先生にここについて新しい学説が発表されたけどどう思うなどと聞いてみたりするなど、どうしてもずれた感性やレベルにみんなが付いていけなかったようです。
そんな彼女を見ながら、彼女は何でこの学校に来たんだろう、と一人呟く奏助なのですが、そこにクラスメイトの女子、池田が現れました。
何しに高校に来たとか考えてたっしょ、同じ幼稚園だった草薙君でもわかんないんだ、と親し気に話しかけてくる池田。
女子の情報網で奏助と鏡子が同じ幼稚園だったことがリサーチ済みだと言う彼女、もしかして鏡子は幼馴染的な、実はずっと好きで舌的な存在なのか?とグイグイ奏助に質問してきました。
違うよ、別にそんなんじゃないよと慌てて否定しますと、池田はこんなことを言うのです。
ならよかった、あんな変人ほっといて私と遊ぼうよ、と!!
強引に放課後一緒にカラオケに行く約束を取り付け、池田は去っていき……
奏助は、まさか池田は俺のこと好きなのか、とよこしまな妄想に鼻の穴を膨らませるのでした!

そんなことがあった直後、英語の授業。
そこで二人組になって英文を音読しよう、と言う時になりますと……やっぱり一人になってしまう鏡子。
奏助にはさっそく池田がスキンシップ多めでお誘いをかけてきました。
その誘惑に負けそうな奏助でしたが、その時視界に誰とも組めなくて心細そうにおろおろとしている鏡子が入ってきまして……
あいつと関わったらだめだ。
そんな自分自身の心の中からわき出してくる警告を振り切って、奏助はうごきます。
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やるぞ鏡子、お前から読め。
そっと隣に腰かけてた奏助を、鏡子は唸り声を上げながらぽこぽこと叩き始め……

そんな状態のまま授業は終わったのですが、どうやら先ほどまでの鏡子が奏助を見ながら行っていた怪行動は「話しかけてくれ」と言うサインだったようです。
自分から話しかけるのが恥ずかしくてできなかった、と言う鏡子、奏助に普通にできないのかと突っ込まれ、その普通がわからないんだ、と逆ギレし……
ともかく、幼稚園時代のように普通に(?)やり取りすることはできたようです。
鏡子は一人になると、奏助は相変わらず仕方がないな、とため息を付き……相変わらず、また昔みたいに……と、足取りも軽やかに笑顔を浮かべました。
奏助のほうも話してみれば一瞬で昔に戻っちゃったな、話しかけてよかった、この感じでクラスにも溶け込めれば、と安堵するのでした。

が、どうしたことでしょう。
何となく見下ろしていた裏庭で、鏡子が池田をはじめとした女子グループに取り囲まれ、何やら泣きながらその場から走り去っていくではありませんか!!
しかもそのまま鏡子は教室に戻ってこず……
たまらず奏助が池田に先ほどのことを確認してみますと、池田はあからさまな作り笑いで何のことかとしらばっくれるのです。
それでも、見間違いかもしれないけどさっき、と食い下がろうとする奏助。
ですが池田はその言葉を遮り、カラオケくるっしょ?と反論を許さない迫力で迫ってくるのです!!
中学時代怖い人に圧をかけられた記憶がよみがえる奏助。
トラウマが押し寄せてきますが……鏡子の笑顔や、悲しそうな顔を思い出すと、その言葉は自然と出てきました。
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悪い、今日はやめとく。
人と会う用事があるんだ。
池田はその返答を聞きますと、あっそ、案外ノリ悪いんだね、とにらみつけて去っていきました。
……もしかしたら明日から、いじめられる日々が始まってしまうかもしれません。
でも、仕方ないよな。
そう呟いて、奏助は学校を出るのでした。

向かった先はあの幼稚園。
やはり鏡子はそこにいましたが、奏助に合えただけで来てよかった、ケンブリッジの研究所に帰る、もう会うこともないだろう、と言いだします。
幼稚園を去ってからの10年で、鏡子が成し遂げた偉業はみんな知っています。
ですがその間に、彼女が何を思っていたのかは誰も知りません。
学校というものに失望した、と言う、今の鏡子の瞳。
そして、よろしくぴょん、とおどけて見せた時の鏡子の瞳。
それを思い出してみれば……彼女がどんな思いをしてきたのか、何となくわかるのです。
出る杭は打たれるか、高なりゃとことんやってやる。
奏助はそう呟くと、バカ鏡子!!と大声で叫びました!!
中学三年間俺は全部を全力でやり切った、中にはちょっと嫌なこともあったけど、学校は楽しいんだよ!!
そう言って鏡子の手を引いて強引に連れ出し、何故か一緒に滑り台を滑る奏助。
中学はこの2000兆倍楽しかったぞ?
やってみなきゃわからない、だからやろう!
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俺がめちゃくちゃ楽しい最高の高校三年間にしてやる!
楽しいことがあったら一緒にやろう、嫌なやつがいたら俺が守ってやる!!
奏助がそう言って手を差し伸べますと……鏡子の瞳に輝きが戻ってきました!!
行く、学校行きたい。
そう言って涙をぬぐう鏡子の頭を撫でてやり、連絡先を交換し……
きっとこれから悪くない高校生活になる。
奏助はそう確信したのでした。

…………が。
その夜のことでした。
問題は池田だよな、どう折り合いをつければいいか、とぼやきながら自転車で家路を急いでいた奏助。
すると突然自転車ごと奏助の体が浮き上がり、地面にたたきつけられたのです!!
一体何事かと顔をあげるとそこには池田がいました。
ですが池田の顔には奇妙な文様が浮かび上がり、明らかに地球の言語ではない言葉をしゃべっているではありませんか!!
そして、
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何やら名状しがたい異形の存在を、空間に明けた隙間から召喚して……!!
そう言えば、こんなうわさがりました。
鏡子の頭脳は、異次元の存在からも狙われている。
……そう。
池田は、鏡子の頭脳を狙う異次元の存在だったのです!!



というわけで、怪物的な頭脳を持つ少女の日常を描いていく本作。
最初は天才が故のポンコツぶりを発揮する鏡子の日常を奏助がサポートして行く様をちょっと恋愛要素を混ぜながら描いていく日常もの、と思わせておいてのこのどんでん返し!
そして二人の学校生活はどうなってしまうのか……!?と言う展開にも、ならないのです!!
なにせ鏡子は庁が一つでは足りないくらいの天才。
こう言った異次元の輩に合うのも今回が初めてと言うわけではありません。
このあと、またもどんでん返しが待っておりまして、本作がどういったお話かの全貌が明かされちゃうのです!!

学校の面々に異世界の存在も交えてのドタバタコメディとなる本作ですが、ハイテンションなギャグとともに忘れてはならないのが個性豊かなキャラクターたち。
鏡子は天才であるがゆえに様々なピンチをピンチともしない辣腕を振るいまくってくれるのですが、そこ以外では意外な一面を様々見せてくれ、有能であり、ポンコツであり、尊大であり、乙女でもある見ていて退屈しないキャラクター。
この後も強烈な新キャラが姿を見せ学校生活をにぎやかにしてくれます!!

さらに巻末のおまけでは、相当シリアスで重い鏡子の過去が描かれ……
お話に膨らみを持たせてくれるのですが、これをおまけでやると言うことはおそらく本編には重いノリはあまり持ち込まないと言う意思表明……かもしれません!
これは単行本のおまけも見逃せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!