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今回紹介いたしますのはこちら。

「ポチごっこ」上下巻 アッチあい先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


アッチあい先生は15年ごろから活躍されている漫画家さんです。
デビュー時は「oimo」と言うペンネームで活動され、「オゲハ」を連載、その後現在のペンネームに改名されました。

本作は先生の解明後初となる連載作でして、分類するならばラブストーリーになるのでしょうか。
気になるその内容はと言いますと……



床いっぱいに広がったゴミや洗濯物。
流し台を埋め尽くす空き缶。
使われた形跡のない炊飯器。
いかにも男の一人暮らしと言った風情のワンルームで、一人の男が電気コードで作った首つり紐をにらみつけていました。
うっすらと涙を浮かべ、息を荒げ……
男は、輪に頭を通し、台にしていた本の上から降りました!!

……自殺は結局失敗に終わります。
失敗と言っても、もともとつま先立ちすれば足がつく程度の高さ、最初からそんな度胸などなかったのでしょう。
すぐに苦しくなって着地し、そのあげく「首つり」「失敗」「後遺症」で検索し、その恐ろしさを思い知ってすっかりその気がなくなってしまうのです。
つっまんねぇ。
死ぬ勇気も出せないなんて、ほんとおれって人間はことごとく……

そんなことを毒づいているうちに眠ってしまった彼。
慌てて飛び起きて会社へ出勤しようとするのですが……
いつも乗っているバスに乗り込む直前、彼の足は止まってしまうのです。
突然立ち止まったせいで、後から来ていた女子高生がぶつかって来てしまいました。
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ショートカットの似合う彼女、おじさんが急に止まるから、とじとっとにらみつけ、バスへと乗り込んでいきました。
そして振り向き、乗らないの?と尋ねてきます。
男は慌てて、乗ります、とバスへ乗り込むのでした。

男……友寄は、馬車馬のように働いています。
エナジードリンクを何本も飲みながら仕事を行い、それでも終わらないものは家へと持ち帰る。
そんな毎日に、正直言って疲れ果ててしまっているのです。
やっと入った会社でトラブルを起こし、本社から飛ばされてこのざま。
子供のころからよくできた兄の下で平凡に育ち、特に何事もない人生を過ごしてきました。
自分よりひどい苦痛に苛まれている人なんてたくさんいる。
だから死ぬ理由なんてない、けど……生きる理由もないんだよなあ。
そんなことを考えながらも帰った後も自宅で仕事をし、遅刻寸前に。
今度はバスが来る前にバス停につきましたが、その待ち時間もパソコンで仕事をする始末です。
どうやっても納期に間に合わない、仮眠を取るんじゃなかった。
何で俺ってこんなこともできないんだ。
絶望に苛まれていると、部長から電話がかかってきました。
出て、遅れてると正直に言うしかないのか。
今日締めなのにそんなことを言ったら……
どうする、どうする?
と、その時でした。
出なくていいよ。出たくないなら出なくていいよ。
先日の女子高生が、そう声をかけてきたのは。
ずっと隣に座っていたのに気が付かなかった友寄ですが、とにかく今はそれどころではありません。
電話に出て、明日にはなんとか、今く行けば今日の午後には、と平謝りするのですが……
君やる気あるの?
そう罵られて、電話は切られてしまいました。
目の前が真っ暗になる友寄……
気が付けば、到着したバスには目もくれず……フラフラとどこかへ歩いて行くのでした。

兄ちゃん、実家に全然顔出してなくてすみません。
前に彼女がいるって言ったけど嘘です、すみません。
最後まで迷惑かけることになってすみません。
ぶっちゃけ兄ちゃんのことはめちゃめちゃ嫌いでした。
サヨウナラ。
……そんな遺書メールを送信し……
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友寄は団地の外階段の踊り場に立っていました。
どうせ死ぬわけないとか思ってんだろ、座間あみろ、俺は本気だからな。
もっと早くこうしときゃよかったんだよな。
口では簡単にそう言うものの、宇やはりいざとなると一歩が踏み出せない友寄。
体から汗が吹き出し、呼吸はまたも荒くなり……それでも、とうとうその一歩を踏み出して……

友寄が目を覚ますと、見慣れない部屋にいました。
天国?と間の抜けた言葉を漏らす友寄でしたが、その背後には
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わたしの部屋だよ、と答えるあの女子高生が立っていたのです!
彼女は当たり前のように椅子に腰かけ、友寄に勉強のわからない所を尋ねてきました。
思わず教えようとする友寄ですが、そこで正気に戻ります。
君、誰?
君、何なの?
そう質問する友寄に、花、と名乗った彼女はこう答えました。
飼い主、ポチの。
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人間やめたんでしょ?
だから私が飼ってあげることにしたの、名前はポチ。
今日からポチは、私の犬として生きてくんだよ。
わかった?
ポチ、返事は?
目が覚めて目の前にいたのは、ほとんど面識のない女子高生。
そんな女子高生が自分をポチと呼び、飼うと言ってくる……
全く理解の出来ないこの状況は……果たして、天国なのか、地獄なのか。
二人の、短くて長い飼い主とペットの関係はこうして始まったのでした……


と言うわけで、ポチと花の奇妙な関係が幕を開ける本作。
この後ポチこと友寄は、会社に戻らなければいけないと言う思いと、このまま過ごした方がいいのではないかと言う思いの間で葛藤することになります。
そして花の仕事なんてやめればいいと言う誘惑(?)に心を揺り動かされているうちに時間が過ぎ……
花の気持ちに触れ、その距離を縮めて行きます。
さらに花の家族にあったり、友寄と連絡が取れなくなったことに気付いたある人物が現れたり、と言うように物語が進展。
飼い主と飼い犬と言う関係の「ごっこあそび」のような二人の間に、様々な試練めいた出来事や、トラブルが巻き起こっていくのです。
お互い悩みを抱えていたことがわかり、その生活の中で二人の心の傷は癒されていくのですが……
そんな生活が長く続くはずもなく、物語は、二人の新生活は静かにクライマックスへと向かいます!

本作の見どころは花と友寄が前を向き始める様です。
その様子は日々の生活に疲れた読者の皆様をキッと力づけてくれることでしょう……が、個人的には中盤から登場するキャラクター、紗智がクライマックスで見せる姿がイチオシです!
ラスト近辺の盛り上がりも勿論素敵なのですが、彼女のかっこよさだけでも見る価値あり……かもしれません!!
そしてアッチ先生の持ち味である女性キャラのかわいらしさは言うまでもなし!!
上下巻で綺麗に完結している本作、ドラマ部分もキャラクター部分もしっかりと楽しめる、読みやすい一作となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!