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今回紹介いたしますのはこちら。

「SHY(シャイ)」第1巻 実樹ぶきみ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


実樹先生は16年のチャンピオンの新人賞で大賞を受賞し、17年にデビューした漫画家さんです。
その受賞作でもあり、デビュー作にもなった「SHY」。
そちらの作品を下敷きにしまして、19年より連載開始されたのが本作となります。
ちなみに別名義で某アイドル育成ゲームメインの同人活動をされてもいらっしゃいます。

そんな実樹先生の描く本作、スーパーヒーローものの作品となっています。
ですが主人公のヒーローであるスーパーヒロイン、シャイはスーパーヒーローらしからぬ性格の持ち主のようで……?



21世紀半ば、この星から「戦争」がなくなりました。
突如現れた超人的な力を持つ人々が平和を願って行動した賜物です。
ですがその人々はみな個性的な性格と格好をしておりまして……いつしかこう呼ばれるようになりました。
「ヒーロー」と!!

世界各国に一人ずついるヒーローですが、日本にいるヒーローは彼女、シャイです。
その力はヒーローの名に違わない立派なものではあるのですが……なにぶん彼女、大変な恥ずかしがり屋だったりします。
その日もとある遊園地のヒーローショーにゲストとして招かれ、ちょっとした挨拶を行ったのですが、それですらド緊張し、辛うじてこなした後控室で戻してしまうほどでした。
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相棒的存在である空飛ぶエビっぽいキャラクター、エヌ=ヴィリオ、通称えびおにはまず人目になれないといけないなと激励されるのですが……シャイからすればそれが一番難しかったりするのです!
と、そんなことをしていますと、ジェットコースターの方から悲鳴が聞こえました。
何らかのトラブルでジェットコースターが緊急停止してしまったようです。
しかも、一回転中のさかさまになったそのタイミングで!!
すかさず駆け付けたシャイ、早速助け出そうとするのですが……一番最初に目が合った一番前の席にいた少女に、自分は後回しでいいから他の皆を助けてくれないか、とお願いされます。
どうせみんな助けるんだろう、と言うその少女。
確かにそれは間違いありませんから否定することもできず、隣に座っていた彼女の弟から救助を開始。
どんどんと救助は進み、やっと残りは先ほどの少女だけになるのです。
ところがなんということでしょう、そのタイミングで止まっていたジェットコースターが動き出したのです。
正常に動き出したわけではありません。
ブレーキ耐えきれなくなったのか、物凄い勢いで進行方向と逆側に滑り落ちて行ってしまったのです!!
猛烈なスピードで動き出すジェットコースター、想定を超えたスピードが出てしまい……そのままレールから飛び出してしまいました!!
空中でバラバラになってしまうコースター!!
シャイは必死に飛びつき、あの少女が乗っていた座席をがっちりと受け止めて着地するのですが……
やはりその衝撃は大きかったのでしょう。
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彼女は頭から流血し、意識を失ってしまっていたのです……

その事件は、シャイに大きな心の傷を与えました。
心の力が鍵となる「ヒーロー」への変身。
その心の傷が、彼女のヒーローへの変身を阻んでいたのです。
あれから一か月、未だにシャイは変身することができず、苦悩しながら普通の女子高生、紅葉山テルとして自分の部屋で膝を抱える日々をが続き……
えびおは、君の気持ちもわかるが、日本には君の力を求めている人がいるんだから……と励ますものの、どうしてもまた自分の無力さで犠牲が出るのではないか、と言う恐れがテルを襲い、立ち上がることができないのでした。
君がいなければあの子は助かっていなかったんだぞ、というえびおの言葉にも、あの子は私のせいで怪我をしたんだから、助けられていないんだ、とまたも自分を責めてしまうのです。
ところがその時突然、ちょっとカタすぎるわね、とロシアの「飲んだくれヒーロー」スピリッツがその場に転移してきたのです!
今日もいつものように酔っぱらっているスピリッツ、テルに何か用事があったようなのですが、宵のせいですっかり忘れてしまっておりました。
とはいえ、今テルに言葉をかけなければいけないことはわかっているようです。
彼女は言いました。
世界中の皆を酔っぱらいにはできない、今この国の皆を飲み明かしても地球の裏側は素面だし、子供は飲めない、二日酔いになったり辛いこともある……と。
……正直何を言っているかよくわからないテルですが……
要するに彼女は、ヒーローでもすべての人を救うことはできない、でも立ち止まってはいけない、と言いたかったようです。
救えた輝きは握りしめて、救えなかった輝きは背負って前へ、それがヒーローってものでしょう?
そうアドバイスするスピリッツですが……そこで彼女の国に事件が起こったようで、お別れの言葉もそこそこに立ち去っていってしまいました。
全ての人は救えない。
そう考えれば、前に進めるのか……?
残ったシャイは、再び苦悩することとなるのですが……

そんなことを考え、結論が出ないまま数日が経ちました。
街に出ますと、否応なく耳に飛び込んでくる、町の人々のシャイに関する話題。
するとテルは逃げるように耳を塞いで、その場を立ち去るのです。
私はもう一笙子のままなのか?こんな気持ちのままで……
苦楽沈んだ気持ちを抱えて街を歩くテル。
するとそこで、高層ビルの火災に鉢合わせてしまいました!!
既に消防も駆けつけておりますが、すでに火の手は周り、高層階に取り残された人を救う術が見つからないようで……
シャイは慌てて物陰に隠れ、変身しようとするのですが……あの少女の様子が脳裏によぎり……変身できないのです。
どうして、行かなきゃダメなのに。
へたり込んで涙を流すしかないテル。
もはやだれにもどうすることはできない、そんな絶望もよぎった瞬間のことでした。
消防士の、ヒーローごっこはやめなさいと言うしかりつける声と、危なくたって助けに行かなきゃダメなんだ、と反発する子供の声が聞こえたのは。
そしてその子供は、こう続けます。
だって、
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ぼくはシャイに助けてもらったから!
今度はぼくがみんなを助けに行くんだ。
「こわい」をやっつけて、誰かを助けたいと思えたら、誰だってヒーローになれるんだ!!
少年の言葉を聞いた瞬間、テルの中に何かが沸き上がるのですが……
その瞬間、火災のビルが爆発!!
大きな破片が少年の上へと降り注いできて……!!
瞬く間に落下する破片!
少年は……すんでのところでテルが助け出すことに成功!!
少年の無事を確認すると……テルは己に言い聞かすようにこう話し始めます。
君の言う通りだ、「こわい」に打ち勝ってこそヒーロー。
ああ、怖いなあ、手も足もガッタガタだ。
だけど私だって、それに勝ちたいんだ。
君に恥ずかしいところは見せたくない。
私は
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「恥ずかしがり屋(シャイ)」なので。
後は引き継ぎます、小さなヒーローさん。
テルはシャイへと変身し……取り残された人の救助に向かうのです!!



と言うわけで、恥ずかしがり屋のヒーロー・シャイの成長が描かれていく本作。
この後もシャイは様々な悩みと困難にぶつかりながら、少しずつ成長していくこととなります。
変身する力を取り戻したシャイのもとに、この後大事なお友達になるある人物が登場するのですが、同時に戦争がなくなって平和になったはずのこの世界に脅威を振りまく人物の存在も発覚!!
シャイはその存在の振り撒く絶望を、小さな幽鬼で振り払いながら進んでいくのです!!

「心の力」がヒーローの力に大きく作用する本作、当然その心の動きの描写に力が入れられております。
照れ屋で頑張り屋なシャイの姿は、読者の皆様も自然と応援したくなること間違いなし。
さらに個性的なキャラクターも続々登場し、物語を彩っていきます。
そして物語の軸もしっかりと据えられていきまして、シリアスなストーリーが展開!!
キャラクターの可愛さやかっこよさだけでは終わらない、読ませるドラマもしっかりと楽しめるのです!!
単行本だけのおまけも豊富に用意されておりまして、雑誌で既読の方も楽しめる要素たっぷりですよ!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!