e70
今回紹介いたしますのはこちら。

「衛府の七忍」第8巻 山口貴由先生 

秋田書店さんのチャンピオンRED


さて、様々なもののふと、鬼との戦いを描いていく本作。
沖田総司と鬼との戦いは熾烈を極め。他の鬼たちとの戦いと同様どちらがいつその命を落としてもおかしくない激闘が繰り広げられたのですが……?



志摩国、石鏡。
その海辺にある廃村で、一人海を見つめるモノがいました。
その名は現人鬼・波裸羅!
怨身忍者たちの中でも一二を争う力を持つ散は、幕府にとって最大の敵と言ってもいい存在。
一人海を見ているだけでも……その命を狙うものが尽きることはありません。
此度やって来たのは、幕府最強の男・神州無敵の桃太郎、その三匹の御供です。
e71
串猿、毬犬、紅雉。
この三匹の御供は、かつて鬼だった存在が、桃太郎の「吉備団子」を食し、神獣と呼ばれる存在に変化したもの。
その名は波裸羅にも届いておりまして、三柱の神獣を前にこう言うのです。
なんとも眼福、かの鬼ヶ島大量虐殺で有名な三柱の神獣!
いや、神獣は言いすぎた、珍獣かな?
褒めると見せかけて扱き下ろす、さすがの波裸羅流の挨拶を受けた神獣たちは、怒りをあらわにするのです!
まなこ開いてよく見よ現人鬼、我ら三名の姿を!
男女を越えたる両剣の超者、汝の同類よ!
三柱の神獣、そして波裸羅はその身体に女性の特徴と男性の特徴を同時に持つ存在。
性別を超越した「超者」と神獣たちは自称しているのですが……
波裸羅は言うのです。
貴公らとこの波裸羅が同類!
不思議よのう、波裸羅の瞳には、貴公らは「奴婢の類」と映っておる!
完全に見下した発言を投げつけられた神獣は、怒りをあらわに波裸羅に襲い掛かりました。
互角の力があることを思い知るがいい、と最初にその爪を振るったのは串猿です。
鋭い鉄の爪は、波裸羅の腕をたやすく貫き、その両の腕に巨大な風穴を6つ明けてしまうのです!!
が、波裸羅はすかさず蹴りを放って串猿の顔を覆っていたマスクを跳ね飛ばしました。
そこにあった顔は、顔面の皮をはがされた無惨なもので……
なるほど桃太郎卿に可愛がられておる、見上げたご身分!
思わぬ反撃を受けた串猿はすかさず鉄の爪を抜いたものの、もはや波裸羅を止める手はありませんでした。
波裸羅は両手の指を立て、串猿の体を抉り裂き、賽の目状に切り裂いてしまったのです!!
目の前で仲間が惨殺された毬犬と紅雉は、すぐさま二人一緒に跳びかかるものの……
いち早く波裸羅の手は二人の腹部にあてられ……
e72
渦貝、を叩き込んでいました!!
らせん状に渦巻く力を体内で暴れさせる波裸羅の絶技、渦貝。
その力は、毬犬と紅雉の臓腑を口から飛び出させると言う、とんでもないもの!!
もはや生きているはずもない三人に波裸羅は告げるのです。
覚えたか畜生!
波裸羅は「好き勝手」の類!!

完全なる勝利を手にした波裸羅でしたが、この場にはもう一人の死角がやってきていました。
見上げるほどに巨大な、
e73
真っ赤な肌の赤子です!
敵意を迸らせる異形の赤子を見てなお、波裸羅の余裕は消えません。
肌が血のように赤い赤ん坊!美味そうじゃ!
そうにやりと笑うのです。
瞬間、赤ん坊は両手を前にして波裸羅へ突進!!
e74
それをがっしりと受け止めた波裸羅なのですが……
その衝撃はまるで隕石でも落ちたかのような常軌を逸した威力!!
二人を中心にクレーター上に大地は抉れ、海には巨大な波を生み出しました。
その威力はすさまじく、波裸羅の眼球は飛び出し、体中の穴と言う穴から血が噴き出てしまうではありませんか!!
この赤ん坊は……相模国、足柄山で山姥と赤竜の間に生まれた怪童。
あの「金太郎」の血を引く者なのです!!
知名度においてはあの桃太郎に並ぶ、金あろうの血筋を引いているとなれば、子の威力も納得せざるを得ないというもの。
赤子はそのまま両手でむんずと波裸羅の「肉」をつかみ、波裸羅の肉を骨から引き剥がさんとしています。
波裸羅には、まるで黄泉比良坂の大岩を支えているかのような圧力かかり……このままでは渦貝を撃つこともままなりません。
このまま赤子に潰されてしまうのでしょうか?
……いや、あの波裸羅がすんなり負けるはずがありません!!
ここから、波裸羅の現人鬼たる所以が見せつけられるのです!!



と言うわけで、久しぶりの波裸羅の戦いが描かれる今巻。
山口先生作品ファンにとって散様は大ビッグネーム、やはりその活躍を見られるのはたまらないもの!!
本作でもその強さは健在ながら、敵もさるもの……
その戦いの結末は、是非ともその目でご確認いただきたいものです!!

そんな波裸羅の戦い、本編に絡んでくるであろう要素もあるのですが……本作のメインストーリーの幕間ともいえるちょっとしたお話にすぎません。
今巻のメインは、前巻より続いている沖田総司と鬼との戦い!!
何せ本作ですから、主役然としたキャラクターであろうとも、生き残るとは言い切れません。
なにせ沖田(と一緒に鬼退治に来た柳生)は生身ですから、炎の血や刃の血を持ち、波のダメージならば再生してしまうすさまじい生命力を持つ鬼との身体的な力の差は歴然です。
沖田たちが勝つには、技術で上回ること以上に、心で勝ることが重要!!
果たして沖田たちは、復讐に身を焦がす鬼うぉうわまわえうことができるのでしょうか!?
さらにこの戦いには、まさかのあの人物まで参戦し……
見逃すことのできない展開が続くのです!!

さらに今巻収録の最後のお話では新シリーズに突入。
なんと真田十勇士が登場するこのシリーズも、一体どう展開していくのか全く予測不能!!
これ加茂以前目の離せないお話になって行きそうですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!