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今回紹介いたしますのはこちら。

「2.5次元の誘惑(リリサ)」第2巻 橋本悠先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、2次元、それも「リリエル」というキャラクターのみを愛しているはずの高校生、奥村。
ところが彼の前に、同じようにリリエルを愛する少女、リリサが現れ、自分のコスプレ姿を撮影してくれとお願いしてきました。
彼女のするコスプレは件のリリエルで、まるでリリエルが現実に現れたかのようなインパクトに奥村は今まで感じたことのない、感じるはずのない胸の高鳴りを感じてしまい……!?



コスプレ撮影を行い続けてきた二人ですが、気が付けばその画像は大分たまってきておりまして……
とうとうリリサは、そのそれを一枚のROMにまとめて大型連休に行われるイベントで販売する決意をしました。
イベント自体には申し込み済みなのですが、問題はまだ製作に全く手をつけていない事。
これから写真を加工したりhtmlをつくたりと、編集作業を行い、さらにその後ROMを焼いて……という作業はたっぷりとあるわけです。
リリサは一人でやってみようとするのですが、奥村は手伝う気満々です。
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出来そうなところだけ首を突っ込むのは手伝うとは言わない、「全て一緒にやる」とオレは約束したんだ、とむしろそれが当たり前という感じで作業に入るのです!

二人が一緒に作業をする、という点で問題になるのは、場所です。
徹夜作業になるのはわかり切っているのですが、どちらかの家に泊まり込む、というのはいろいろ問題があります。
ですがそれに関しては奥村に手がある様子。
昔から同人誌を徹夜で作って来た先輩方から代々伝わっている方法があるとのことで……

それは、ちょっぴりダーティーな手段でした。
学校で施錠の時間に見まわっている先生へ、忘れ物をしたので鍵を貸してください、あとで返しておきますので、と鍵を借りる奥村。
で、その時にちゃっかり部室に隠れてしまう、というものです!
見回りが行われるのは22時と深夜2時。
その時間だけしっかりと消灯して息をひそめてやり過ごせば、あとは作業し放題、と言うわけなのです!

そして作業は始まります。
ピントが上手くあっていないもの、目が半開きだったりするものなどを外していき、いい写真のみを画像ソフトで加工。
そこまでしなくても十分いい写真だけどと言う奥村なのですが、「リリエルの肌はきめ細か過ぎてきめ見えないんできめ消します」というリリサの徹底したこだわりできっちりと綺麗に補正いたします。
加工する画像の数は、ざっと500枚!!
途方もない数字なのですが、もうとにかくやるしかないでしょう!!
一枚当たり5分作業に時間がかかるとして、500枚やると2500分。
41時間40分……!
しかも見回りの時は息をひそめなければならないので作業はできないわけで、いよいよこれで終わるのかと不安になってしまうのです。
黙々と作業……できればいいのですが、徹夜作業にハリを作るためにこれを見よう、と持ってきた合法自作アニメOPニング集を最セ氏すると、そっちの方に夢中になってしまったり……
二人でカラオケに行ったら盛り上がりそうですね、というリリサの何気ない言葉にドキドキしてしまうなど、作業は滞ってしま賀地になるのです。
さらにそうこうしている間に、見回りの時間が来ていまして、先生に何かいるのかという違和感を感じられてしまいました!
誰かいるのか、扉をたたく先生!!
奥村はリリサの口を押え、
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いざとなったら俺が出て謝るから隠れてろ、リリサは俺が守る、と何やらかっこいいこと言って……!
状況のヤバさにもかかわらず、今度はリリサの方がドキドキする羽目に。
幸い先生は手持ちの鍵束から部室の鍵を見つけられず、(奥村が身に着けていました!)まあいいかと戻っていってくれ、難を逃れたのですが……

そんな感じで作業していては、やはり順調には進みません。
締め切り前日になっても終わっておらず、もう間に合わないと涙目になるリリサ……
ですが、そこで奥村はリリサに言うのです。
リリサのやったものを見れば俺も加工できるかもしれない、
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二人でやればなんとかなる!!
リリエルの敬愛するアシュフォード様の姿がダブったリリサは……疲れもあり、思わず奥村をアシュフォード様、と呼んでしまうのでした……

ともかく辛うじてデータは完成しました。
後はROM焼きですが、それはもう手伝う手伝わないの作業ではなく、PCにお願いする部分です。
二人は明日のイベントに一緒に向かう約束をしてわかれるのです。
……が、驚いたのは美花莉です。
まさか明日二人でイベントに行く上、今まで一緒に徹夜で作業していた、という情報をいい気に教えられ……
何よりも問題は、美花莉は密かに奥村に思いを寄せているわけで……作業の最中に二人に何かあったんじゃないか、という心配です!!
二人の性格上いきなり何とかなるわけもないのですが、安心しきるわけにもいかず。
美香莉は思い切って、リリサに尋ねるのです。
あんた、先輩のことどう思ってんの?と。
……リリサはこう答えました。
趣味があって、一緒にいると楽しくて、優しくて、私の夢を応援してくれて、控えめだけど意外と頼もしくて。
例えがオタクですけど、なんだかちょっとアシュフォード様みたいですよね。
……美花莉は笑顔でそう答えるリリサに……こう告げるしかありませんでした。
それって、
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好きと何が違うのよ!?
……自分が奥村のことを好き。
そんなわけない、とも思うのですが、いざそう言われると……急に一緒にイベントに行くのが気恥しくなってしまうリリサ。
奥村と同じように、そんなはずはないのにときめいてしまっている自分に驚き、戸惑い、意識してしまい……
二人はこのイベントで、その関係を大きく変えることになってしまうのでしょうか!?



というわけで、初イベント編を収録した今巻。
二人が共同作業の中で苦楽を共にし、お互いの距離を近づけて行く……というのはもはや王道。
その王道は本作でも健在なわけですが、そこは「3次元に興味がない」系の主人公二人。
そう簡単に物事が進むはずもなく……!?
とはいえ、お互いがお互いを意識している度合いが深まっているのは確か。
このイベントを経て、その関係が全く変わらない、というのは流石にないはず!
リリサと奥村、その関係はどうなっていくのでしょうか!!

そして美花莉の動向も気になるところ。
モデル業をしているだけに、奥村の気を引くために積極的にコスプレをして……ということはしづらいわけで。
美花莉はリリサと奥村の関係を、ただ見ていることしかできないのでしょうか!?
彼女の奮闘にも注目です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!