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今回紹介いたしますのはこちら。

「SHY(シャイ)」第2巻 実樹ぶきみ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、恥ずかしがり屋のヒーロー、シャイの奮闘を描いていく本作。
突如姿を現した、世界を騒がす事件の首謀者と思しき少年、「スティグマ」に対抗する力を手にするため、シャイはイギリスのヒーロー・スターダストと戦うことになったのですが……?



もしシャイが負けたら、ヒーローを辞める。
そんな条件を出されてしまったスターダストとの戦い。
それでもシャイは戦う力を得る為、その条件を飲むことにしました。
シャイのヒーロー人生までかかってしまったこの戦い、ルールは簡単。
シャイの変身がとけるまでの間に、スターダストの顔面に一発でも攻撃を当てることができたら勝ち、というものです。
シャイたちヒーローは、転心輪というリング上のアイテムの力で変身しています。
転心輪は装着している者の心にリンクしていまして、心を強く持てば力を与えてくれ、逆にもう戦えないと心が折れてしまえば変身が解けてしまいます。
シャイの気持ちが続く限り、負けはないわけですが……
なんといってもシャイは、ヒーロー活動の中で「戦い」というものをほとんど経験していません。
戦闘経験が豊富なうえ、「心の使い方」にもなれているスターダストに太刀打ちするのは難しいかもしれません。
ですが、一発顔に当てることなら不可能ではない……はずです。
シャイの体は初めてヒーローを相手に戦うと言う緊張で、震えが止まらなくなってしまっています。
……それでも、やる気は全く萎えてはいません。
何があっても戦いの幕引きまでは手を出すな、とギャラリーに回るペペシャたちにつげるスターダスト。
その戦いが苛酷になるであろうことを予想させるその言葉を聞いても……
シャイは、ペペシャたちに笑顔すら見せるのでした!
勝って見せる、と!

戦闘開始の合図とともに、突っ込んでいくシャイ。
ですがどうしたことでしょう、シャイの攻撃は一向に当たりません。
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それも、よけられていると言うよりも、「届かない」かのようにシャイの攻撃は空振りを続けるのです。
スターダストはそんなシャイの攻撃を見て、君は人の殴り方を知らないな、と合気のようにいともたやすくシャイの体を宙に舞わせます。
そして、
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人っていうのはね、こう殴るんだよ、とすさまじい威力のパンチをシャイのお腹に叩き込んだのです!!
悶絶するシャイに、スターダストは淡々と語りかけます。
僕はよく心ない人間だと言われるけど、要するに共感能力がないんだ。
他人の気持ちを軽々と踏みにじれる。
だから本気で他人を殴れる、他人の痛みに共感できないから何のためらいもなくそれができる。
君は教官能力が高いんだ、他人を思いやり、情けをかけ他人のために動く。
だから君は弱い。
何故なら心が勝つことを拒絶しているから。
……シャイは立ち上がり、再び攻撃を仕掛けます。
依然攻撃はかすりもしません。
実はこれこそがスターダストのヒーローとしての能力、心の力。
スターダストの不動の心は、周りの「流れ」を支配するのです。
空気、力、熱……すべての流れが、スターダストの思うが儘。
シャイの攻撃の流れは全て、その力によってそらされてしまっていたと言うわけです!!
このまま、転心輪の力で強化された肉体の力だけで攻撃を仕掛けていては、スターダストに届くことはないでしょう。
スターダストはシャイをあおり続けます。
君の「力」を必死で探せ、じゃなきゃ生き残れない。
怒れ、憎め、殺したいと思ってみろ、死んでほしいと願ってみろ。
じゃなきゃ、僕が君を殺してしまうよ。
スターダストはシャイを蹴り飛ばし、その頭を踏みつけます。
あまりに容赦のないその行為に、ペペシャはやりすぎだと異を唱え、憎しみすらこもった視線でにらみつけます。
ですがそんな視線を受けてなお、スターダストは動じないのです。
その目は慣れてるよ、とペペシャに言うと、今度は足の下になっているシャイに向けてこう言います。
君は弱い、もうやめるかい?
シャイはそれでも、やめません、と答え……そして……

シャイはボロボロになって、床にあおむけに転がっていました。
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一方的な戦いは続き、シャイはさんざん痛めつけられてしまったのです。
だと言うのに……シャイの変身は解けてはいません。
シャイはまだあきらめていないのです!!
そんなただただ厳しいシャイの戦いを見てきた友人、惟子はたまらず声を上げてしまいました。
もういいよ、帰ろう!
こんな想いしてまでヒーローなんかしなくていい!
君がどれだけ頑張ったか、私は知ってるから!!
……シャイはその手を惟子に向け……拳を作り……そして、ボロボロの顔で笑顔を作ります。
私、最初わからなかったんです。
ダメダメのくせに何で勝つなんて言ったのか。
思いだした、私がいつも弱音を吐きそうにあった時、そばにいた皆のやさしさが私に勇気の火を灯してくれたんだ……!
シャイはフラフラの体に鞭打ち、立ち上がります。
ああよかった、もう一度立てるなら……
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まだガンバれます……!
立ち上がったシャイの体からは、今まで見たことのない「何か」が迸り始めていました。
スターダストはそこで初めて、その表情を崩します。
そうこないとな。
にやりと笑うスターダストに、シャイはとうとうその「力」を見せるのです!!



というわけで、シャイの力が発揮され始める今巻。
スティグマと戦い、犠牲者を増やさないためにもシャイのパワーアップは必須です。
その為にまずはスターダストを乗り越えなければならないわけですが……
仮に「力」を使いこなせるようになったとしても、たやすくクリアできる相手ではありません。
果たしてシャイはその力が尽きる前に、スターダストに一発喰らわせることができるのでしょうか?
運命の戦いの決着は間近です……!!

そしてこのあと、物語は小エピソードをはさんで新展開へ!!
次なる物語の舞台は、なんと北極!
シャイはペペシャとともに北極へと赴くのですが、そこでいまだかつてない壮絶な戦いの幕が開くとはだれが思っていたでしょうか!?
様々な謎と、ここから始まる戦いの予感、そして思いもよらない出会いが待っている新シリーズ、ますます目の離せない展開となっていきそうです!!

その合間の小エピソードも忘れてはいけません!
絵に描いた様なツンデレさんである新キャラ、レディ・ブラックが登場し、物語はさらににぎやかに、奥深くなっていきます!
彼女以外にも今後また登場しそうなキャラクターが姿を現し、こちらも見どころ満天なのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!