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今回紹介いたしますのはこちら。

「シャドーハウス」第4巻 ソウマトウ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、成人になるための「お披露目」に挑むことになったエミリコたち。
ですがこのお披露目、単なる成人のための儀式ではない、きな臭さが漂っていて……?



お披露目は劇的な結末を迎えることになりました。
エミリコとケイトは、ギリギリのところで合格することができたのですが、脱落者も出てしまいます。
手放しで喜ぶことはできませんが、エミリコたちが合格できたことは喜ばしい事。
合格した一同は、「星つき」と呼ばれる、成人した子供たちの中でもとりわけ位の高い者達に導かれ、パーティー……「お披露目」の本番へと導かれるのでした。

ケイトたちが成人の先輩たちに挨拶をしていますと、星つきのひとり、スザンナから今まで見たことのない飲み物を勧められました。
真っ黒い液体……珈琲です。
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成人、「顔つき」と認められたらふるまわれると言う珈琲を口に運ぶエミリコとケイトなのですが、初めて飲むコーヒーの苦さにびっくりしてしまいます。
スザンナたち顔つきの面々はその様子を見ると、慣れればこの苦味と酸味のバランス、滑らかな舌触りと奥深い香りが病みつきになる、と笑います。
飲めば不安もなくなる、とも。
その苦みをどうしても好きになれないケイトは、私は紅茶がいいと珈琲のカップを置くのですが、もったいないと何でも取っておく性分のエミリコは飲みかけをそのままにしておくことなどできません!!
もったいないので、とケイトの分も口に運ぶものの、
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その苦さに顔をしかめてしまうのでした。
しばらくすると、今度はそこにマリーローズやサラ、といったケイトと知り合いの星つき達が現れます。
彼女達は彼女達なりにケイトとエミリコの奮闘を称え、そしてこの場にやってこれたことの幸せさを語るのです。
この「おじい様と共にある棟」にはなかなか来られない、ここに来ると身震いがする、と。
上から求められる功績をあげると、子供たちはランクアップしていき、今は地下1階がせいぜいなことも達が2階、3階、と上層で暮らすことを許されるようになるのだとか。
あなた達も上に行けるよう努力なさい、とりあえず今回の一番でゴールしたルイーズをお手本にね、とサラは指さすのです。

そうこうしていますと、ケイトたち今回合格した子供たちが呼び出され、壇上に立ってお披露目されることになりました。
合格者全員が拍手で迎えられ、そして……星つきのリーダーであるバーバラが、不合格者の人形を手に取ると、落ちた無能は処分!!と、地面にたたきつけてしまったのです!!
目の前で一緒にお披露目を戦ってきた仲間が、さらに辱められる。
合格したシャドーたちの心中は複雑ですが、不思議と「顔」になった生き人形たちは一切顔色を変えず、自信に満ちた頬笑みをたたえたままです。
シャドーたちも、そう言う心持であるべきなのか、と生き人形たちに教えられる形になるのです。

そしていよいよ、お披露目のメインイベントがやってきました。
皆で庭に出て、「おじい様」と謁見をする。
この館で最大の権力を持つおじい様の御目通りになると言うことは、シャドーとその顔にとって最も光栄なことで……
おじい様は、遠くに見える館の窓をほんの少しだけ明け、その隙間から静かに子供たちに向けて手を振って見せました。
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瞬間、子供たちは沸き立ちます!!
偉大なるおじい様が手を振って下さった、なんて光栄なことだろう!!
今回合格した子供たちは、その異様ともいえる盛り上がりを傍観しているような状態。
そして……ケイトは、その胸に密かにこんな想いを抱いたいました。
あいつが、全ての元凶……!
異様ともいえる熱狂の中、ケイトだけはこの館の、おじい様の支配に疑問を抱いていたのです……!!
が、そこでケイトは思いもよらないものを見て、驚愕することになってしまうのです。
ケイトのすぐ横に立っている、エミリコ。
いつも天真爛漫で、この館や生き人形のルールをものともせずに、ケイトのためだけに奮闘してくれる彼女が……
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涙を流して、おじい様との謁見に感動していたのですから!!
いつもの彼女なら、こんな表情を浮かべるでしょうか?
いや、浮かべるはずがありません。
そして、共にお披露目を勝ち抜いてきた他の生き人形たちも、一様に同じような感動の表情を浮かべていて……!
さっきの黒い飲み物……まさか……
ケイトの胸の中には、抑えきれない不安と焦りが立ち込めるのでした……



と言うわけで、新たな展開が始まった本作。
今までもエミリコの底抜けな明るさで見えづらく放っていたものの、謎だらけであった本作ですが、ついにその謎……闇、に切り込んでいくことになります。
シャドー家のおかしさに疑問を持ち始めていたケイトは、その元凶がおじい様である事を確信し、このシャドー家の異様をどうにかしようと考えていたようです。
ですが……このエミリコの豹変をはじめ、このシャドー家の闇は想像をさらに超えて行く深さであることがわかってしまうのです。
この後、本作の数々の謎が、実にあっさりと明かされていってしまいます。
その衝撃的な事実は、おじい様に近しい2階や3階の住人にとってはもうすでに当たり前のことのようで、とんでもない深窓を、それこそ日常の出来事のように語り……!!
生き人形、シャドー、そして館のある街。
それらの真実が明かされていき、未だその一切が謎に包まれているおじい様の底知れなさだけが、一層濃い闇となっていくのです!!

ここに来て、物語のはっきりとした軸ができ、これから今までとは全く別の「戦い」が描かれていく予感が漂う本作。
前巻から描かれてきて、今巻の前半で決着する庭でのお披露目の決着も驚くべきものになるのですが、まさかそこから一気にこうなるとはだれが予想したでしょうか。
ここから更なる怒涛の展開が待っているであろう本作、これから先も目が離せませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!