yk0
今回紹介いたしますのはこちら。

「横須賀こずえ」第1巻 小田扉先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、世界最大の売り上げを誇る団地漫画(仮)「団地ともお」を完結させた小田先生の最新作となる本作。
基本的に日常漫画を描き続けてきた小田先生の最新作ということで、本作もやっぱり日常もの。
ただ、その主人公はちょっと変わった存在で……?



犬の散歩をする男、健三。
坂道の上の方に差し掛かってまいりますと、急に犬は横を向き、その場でウンコをし始めました。
ひとしきり出し終えますと……犬は、自らの出し終えたソレを物憂げな瞳で見つめます。
yk1
健三は、お前いつも自分のウンコしげしげと見るなあ、と犬に話しかけながら、ウンコを袋に入れ……そして、散歩を続けるのでした。

健三の住む王島家は、今までペットに縁のない家庭でした。
ペットを飼おう、という考えすら持ったことすらなかったのです。
家族で食卓を囲む中、次男のまさおは骨を模したおもちゃを使って犬と戯れていました。
するとお母さんは、眉一つ動かさず尋ねてきます。
それは犬のおもちゃ?買ってきたの誰?
そう言うものは与えない約束よね。
名前も付けないし、餌にトイレに散歩、最低限の世話しかしないって約束よね。
私たちは飼い主じゃないの、預かってるだけ。
情がわいたらこの犬にとってもかわいそうでしょ。
yk2
……そう、この犬は王島家の一員ではないのです。
実際に今もなお、近所の電柱を中心に「迷い犬あずかってます」の張り紙をしているのですから。
そんな犬に関しての話題が出るたび、お母さんは何やら機嫌が悪そう。
お父さんや健三はその雰囲気を察知し、元の飼い主が見つからなくても買ってくれる人を探さないとな、などと話し合っておりました。
まさおはといいますと……とりあえずそんなことより、朝のあわただしい時間に給食袋が見当たらないと大騒ぎしております。
お母さんに聞いてみるものの、お母さんも片づけに忙しそうであまり取り合ってくれません。
すると……例の犬が、給食袋を加えて登場したではありませんか!
実はこの犬、天才犬でした。
犬としてはとんでもない知能を持っていまして、まさおが求めている者もあっさりともってきてのけたのです!!
……が、天才と言っても犬は犬。
小学校4年生くらいの知能のようで、小学生並にいたずらも大好き!
給食袋を加えて駆け出し、追いかけっこなんかを楽しんじゃったりもするのでした。
ですがそこは流石の天才犬。
同じようなシチュエーションでお母さんに洗濯バサミを持っていったときは……この人をからかってはいけない、と瞬時に察知して素直に洗濯バサミを渡すと言う、TPOにマッチした行動をするのでした!

散歩はやっぱり楽しい犬ですが、お父さんやお母さんの散歩は近所の平たんな道を歩くだけで退屈。
まさおの散歩は走り回ることはあるものの、まさおのコースには犬のは知りたいスポットを通らないので物足りないのです。
犬は健三の散歩コースが一番好きでした。
健三が犬を拾ってきた、ということも多少はありますが、健三の選ぶコースが坂道や階段が多く、犬の好みと会っていたのです。
そんな散歩の最中、いつものように坂を上ったところでウンコをする犬。
するとその時、子供が遊んでいる際にボールをそらしてしまったようで、健三たちの方へと飛ばしてしまいました。
すかさずキャッチ……しようとしたものの失敗する健三。
子供たちはそのままボールを追いかけて坂を駆け下りて行くのですが……それを見て犬は、何かを感じ取ったようで……

その後も犬と王島家の生活は続きます。
家の中用の犬小屋をだぶって買ってきてしまったり、まさおが犬にぺろという名前をつけてみたり……
そう言う皆の行動を見ていたお母さんは……健三が連れてきたとき、アンタ初めから首輪ついてなかったわよね、と犬に話しかけました。
そして、散歩の最中におもむろに迷い犬の貼り紙をはがし取り……

食事の時、まさおは新しいおもちゃで犬と遊んでいました。
前回買ってきたのは健三でしたが、今回のおもちゃはなんとお母さんが購入。
さらに気が付くと、犬の首には迷子札がついておりました。
そして突然、昨日からウンコしてないのよね、と言い出すお母さん。
突然何かと思えば、「こずえ」が昨日からウンコをしていないのだ、とのこと。
犬も便秘になるんだ、つぶやいた健三……そこで、「こずえ」が犬の名前である事に気が付きました。
名前よ、なきゃ不便でしょ。
サラリとそう言うお母さん。
yk3
こうして犬は「こずえ」となり、正式に王島家の犬となったのでした!!

そんなことがあった後、こずえと健三は散歩していました。
いつもの場所でいきみだすこずえ。
すると昨日ウンコをしていなかったせいでしょうか、丸くてかたそうなウンコがいくつかぽろぽろと零れ落ち……坂を転がり落ちて行ったではありませんか!!
やれやれとそれを拾うために追いかけようとする健三。
なのですが、いち早くこずえがダッシュ!!
健三とこずえは、一緒になって坂を駆け下りる形になりました。
実は、これこそが一番こずえのやりたかったかたち。
yk4
やっぱり気持ちいい、ずっとこうしたかった。
これからも一緒に坂を駆け下りて行きたい……
こずえはそう思うのでした。



と言うわけで、王島家の仲間入りをしたこずえ。
こうして、天才犬こずえの日常が幕を開けるのです。
基本的には、横須賀を舞台にこずえがあれやこれやと他愛のない出来事に遭遇していく様を描いていく日常系の作品となるわけですが、徐々にファンタジー系の要素が増えてくるのが本作の特徴でしょうか。
「ともお」でもファンタジーなお話はちょくちょくありましたが、大体はその話一話だけしか登場しない要素でした。
ところがこのお話では、普通ならありえないようなファンタジックな出来事が、「不思議な出来事」として作中に普通に存在していて、それを複数のキャラクターが認識していると言うような描写があるなど、ファンタジー要素があって普通(?)な世界観になっているのです!!
かといってそれだけに頼るでもなく、織田先生の持ち味であるシュールなギャグや、ちょっとじんわりくる感動系のお話など、通常の日常漫画的な作品も用意されております。
そんな壱話完結型のストロングスタイルな形式は「ともお」からしっかりとうけつがれているわけです!!

ですが本作の、今までの小田先生作品と最も違う点はそこではありません。
なんと本作には、こずえがあるものを探す、という物語の明確な目的が存在するのです!!
果たしてこずえの探し物は見つかるのか?
見つけた先でこずえはどうするのか?
そんな物語の本筋も注目です!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!