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今回紹介いたしますのはこちら。

「フランケン・ふらん Frantic」第2巻 木々津克久先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、人知を超えた医療技術を持つふらんが再び始動した本作。
医療ホラーという本作ならではの味わいが、今巻でも楽しめます!!



病院で意識を失った少年、露人。
もはやその命は助かることがない。
自身もそう覚悟していたところはあるのかもしれない重病であった露人ですが……
その意識は戻って来ました。
ですが、意識が戻ったその時に拡がっていた風景は、病院の無機質な病室でも、自身を心配する家族たちの顔でもありません。
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見慣れない草原で、ドラゴンとナイトたちが戦っている……?
まるで、中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジー作品のような光景だったのです!

病院で意識を失って、目覚めた先が謎のファンタジー風景。
……このシチュエーション、どう考えても「異世界転生」と言うやつではないでしょうか!?
戸惑いの隠せない露人ですが、その時ドラゴンが露人の方へ飛んできてしまいました!!
するとナイトたちは、露人の方へと剣を投げ渡します!
それでとにかく身を守れ、という事なのでしょう。
病弱で運動能力も衰えていた露人ですが、なぜかその剣は吸い付くように露人の手の中におさまり……!
そしてその剣はまるで何かに導かれるようにドラゴンへと振るわれ……なんとナイトたちが苦戦していたドラゴンを一撃でふっとばしてしまうではありませんか!!
ナイトたちは露人をドラゴンスレイヤーだと祭り上げ、そのまま英雄として王との謁見をすることになってしまうのでした!

城下町では街の人々に湛えられ、場内では王に会うまでの道中で美しい姫に会い……
本当に異世界転生といいますか、王道RPGといいますか、そんなイベントに遭遇していく露人。
そして王にいざあってみると、本当に露人が優者なら頼みたいことがある、とこんなお願いをしてきます、
突如現れた謎の大魔導士が王国を攻撃していて、姫を差し出さねば王国は滅びると脅してきている。
魔導士討伐に協力してくれ、と!!
もうすっかり異世界転生の主人公気分な露人、もともと優しい性格もありまして、出来ることがあれば手伝わせてください!と位置も二もなくそのお願いを受け入れるのです。
そして、魔法使いでもある姫の妹や、腕利きの戦士たち、獣人の魔導士と言った個性豊かなパーティーを加え、魔導士討伐の度へと向かうのでした!!

……そんな冒険の旅が始まる半年前のこと。
ふらんの元に、善沢と言う紳士からの依頼が舞い込みました。
その依頼とは……ふらんをもってしても治療が叶わず、その命の灯火が消えるには時間の問題、という善沢の息子の最後の望みをかなえてほしい、というものでした。
ふらんでも治療できなかったと言うのに、それ以上何をして欲しいと言うのでしょうか。
とあるゲーム企業のCEOである善沢が取り出したのは……たくさんの異世界転生ものの書籍。
善沢の息子が愛している本だとのことで……
それを
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「なんとかならないでしょうか!」と、善沢は言うのです!!

ふらんはかつての依頼者であり、善沢の知人でもあった松前と言う男に協力を仰ぎます。
松前の「島」を改造し、「異世界」を作る。
そのとんでもない作戦は、善沢の有り余る資金と息子への愛、松前の友人の思いを叶えたいと言う友情、そしてふらんの全面的なバックアップで実現することになります。
急ピッチで異世界的な建造物が作られて街が完成し、㌵によって異世界らしいデミヒューマンやモンスターが届きます。
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ちなみにあのドラゴンは、キリンを整形して整えたもの、
飛んでいるように見えたのは、実はワイヤーで吊るしていたわけです。
ですがどんな舞台を整えても、善沢の息子の身体の衰弱は進んでしまいます。
それも考え済みで、息子に与える装備に電動アシストとある程度の外部からの操作を受け付ける機能を内蔵。
衰弱を感じさせない、本人は全くそのつもりがない超パワーを発揮できる仕掛けがされたのです。
ちなみに痛みへのケアは、回復薬と称しての強力な痛み止めでカバーすることになっています。
そして魔法は密かに飛ばすドローンからプロジェクションでエフェクトを出して表現。
こうして、「異世界転生」の舞台は整うのです。

……そう、善沢の息子と言うのは、露人のことです。
露人は、作られた異世界で初めて心から楽しさを感じることができていました。
子供のころから入院ばかりで、ほとんど外に出ることすらなかった露人。
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生きていて、いや、死んでよかった!
露人は涙を流して、異世界を楽しむでした。


その裏でどんどんと進んでいく、旅の先を作る工事。
一緒に旅をする冒険の仲間たちも、主に役者さんたちなのですが……露人の優しい性格に惹かれ、そんな彼の楽しそうな顔を見るのがつらい、と泣いてしまうほどに強い思い入れをもって「仲間」を続けてくれています。
全ては作られた世界での、ごっこ遊び。
ただひたすらに主人公を持ち上げ、いい気分にさせ続ける、幼稚な物語だと思う人もいるかもしれません。
ですが、傷ついた人に少しでもつらい現実を忘れさせる……
物語にそれができるのなら、素晴らしい事でしょう。
それは手術や医療技術だけでは、決してできない事なのですから。
……そして今も、露人は冒険を続けています。
理想化された世界で……いつか命が尽きるその日まで。



と言うわけで、新たな切り口の異世界転生を描いたエピソードを収録した今巻。
異世界転生と思わせておいて、少年の夢をかなえると言う大掛かりなアトラクションだったと言うこのエピソード、今までにない転生(してませんが)ものと言えるのではないでしょうか?
異世界転生の物語の裏にある、協力者たちの努力と涙。
そんなまさしく本作ならではの味わいをお楽しみください!!

それ以外のお話も勿論見どころ満天。
本シリーズはコメディタッチの作品から、スプラッタ感の強いお話、人間の闇の深さを描く物語などが主に描かれていきますが、この「Frantic」第2巻ではスプラッタ+人間の闇系のお話がほとんどを占めております!
今回紹介したお話は唯一の例外と言ってもいいくらいで、他のお話はいつにもまして悪趣味といいますか……ダーティーでバイオレンスなお話ぞろい!!
いつも可哀想な目に合うヴェロニカは今回とりわけひどい目に遭いますし、人間の欲深さや身勝手さがほとんどのお話に絡んできますし、このお話はいいお話系かな?と思わせておいて最後の最後にとんでもないどんでん返しが待っている、本作のだいご味が味わえるお話も用意されております!!
今巻も本作らしさをお腹いっぱい楽しめますよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!