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今回紹介いたしますのはこちら。

「一日三食絶対食べたい」第3巻 久保田ショウ先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、凍てついた世界の中で、身を寄せ合って生きていたユキとリッカ。
仕事も人間関係も苦手だったユキでしたが、徐々にそのどちらもなんとかかんとかこなせるようになり、二人の生活も安定し始めた、かに見えたのですが……?



気が付けば三年の月日が経っていました。
外の気候は以前より幾分回復し、環境が良くなったことでビオトープも発展。
他のビオトープとの行き来も可能になっていました。
ユキは後輩の指導をしながら仕事に精を出し、スギタは医療チームに異動。
それぞれの仕事に打ち込んでいたユキやスギタ、そしてスズシロですtが、その日は久しぶりに三人集まって、カードゲームなんかに興じておりました。
しばらくするとその場に、14歳になったリッカが登場。
そろそろ進路を考える時とのことで、彼女も勉強が忙しいようです。
そろそろ進路決めないといけないんだっけ?とスズシロがリッカに尋ねていますと、スギタはさらっとこんなことを言いだします。
医療系にするんじゃなかったっけ、と。
……え?
思わずそう呟いたのは、ユキでした。
一緒に暮らしているユキですが、実はその話。初耳。
それ、オレ聞いてないです、とスギタに尋ねるのですが……
ユキとリッカの顔は、なんだか今まで見たことのない、何とも言い難い微妙な表情をしていて……
どうやらリッカはユキにこのことを内緒にしていた様子。
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スギタは心の中で、ごめん、うっかり行っちゃった、とリッカに謝るのですが……

その後、二人で家族会議です。
さっきの進路の話、なんですか、と珍しくストレートに尋ねるユキ。
学校で進路希望の話があって、医療系に興味があったからスギタさんに相談したの。
確かにそのものずばりの仕事をしているスギタに尋ねるのは間違いではないでしょう。
ですが……
ユキは悲しい目をしながらこう呟きました。
オレへの相談、すっ飛ばしてですか。
勿論それが良くない事だと言うのは、リッカにもわかっています。
それでも、言い出しにくかったのです。
何故なら……選抜試験に合格すれば、
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他のビオトープで生活することになるですから。
それはすなわち、二人の別れを意味しています。
漠然と、このまま二人の生活が続いて行くものだと考えていたユキ。
改めてその事実を突きつけられると、どうしてもショックを感じてしまいます。
そんなユキの気持ちを知ってか知らずか、リッカは続けました。
何年か前にユキくんが虫垂炎になった時、和退職病室に行ってたでしょ。
その時、他の患者さんや看護婦さんのいろいろな声が聞こえてきたり姿が見えたりして、みんなすごく大変そうだったから、何か役に立ちたいと思って。
リッカの真摯な思いを間近で見たユキは、自分が高校二年生の時のことを思い出していました。
東京のこの大学行きたい、この学科は東京にしかない!!
そう言って、断固として他の大学を譲らなかったユキ。
最初は学費がかかると渋っていた母なのですが、父の最近勉強頑張ってるみたいだし、東京でもいいよ、という赦しを得て大学受験をしました。
ですが将来はどうするのかと尋ねられると、大学行って考える!と言いだしやがったユキ。
そう、ユキは結局東京に行きたかっただけだったのです。
そんな自分よりだいぶ若いと言うのに、他人のために働きたいとは……立派としか言いようがありません。
その立派さはともかくとしまして、やっぱり引っかかるのは何で今まで言ってくれなかったのか、ということです。
彼女のことを考えれば答えは一つなのかもしれませんが……ユキはとりあえず、オレも考えさせてもらっていいですか、と答えるのでした。

その後、またスギタと会うことができたユキ。
せっかくなので、リッカにどんな相談をされたのか聞いてみることにしました。
学力はどのくらいいるのかとかいろいろと聞かれたと言うスギタ、もっと深堀してみると、リッカの学力や学習意欲のことも知っていて、合格の目がありそうだと言うことまでしっかりわかっていました。
スギタにはめちゃくちゃ相談しているのに、自分には一言もなかった。
さみしさやらみじめさやらで思わず涙をこぼしてしまうユキなのですが、スギタはこう補足します。
医療系の定員は少なくて、選抜試験で決まるらしいけど、もうすぐ模擬試験があるらしい。
その試験でA判定が取れたらお前に言って、とれなきゃ諦めるって言ってた。
滞在費とかで結構金かかるらしい。
本人もそこで迷ってるんじゃないの?

夜遅くまで机に向かって勉強をしているリッカ。
ユキは彼女に、おにぎりの差し入れをしました。
ついでに自分もおにぎりを食べながら……ユキは言いました。
あの、いろいろ考えたんですが……
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俺はリッカさんがやりたいことやって欲しいです。
ここに来てから好きなことなんて全然できなかっただろうから、リッカさんのやりたいことが見つかって嬉しいです。
だから、お金とか何も心配しなくていいので、いつでも頼って下さい。
……すると……
リッカはぽろぽろと涙をこぼしながらいいました。
最近ね、勉強に集中できなかったの。
この選択をしていいのか、ずっと不安だったの。
だからそう言ってもらえて、本当にうれしい。
ユキはそんなリッカを見て、にっこりと笑うのでした。
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いつでも応援してますよ、と。

……その後教えてもらった必要な学費を見て、思ったよりも高いその値段に冷や汗をかいたのは別の話……



と言うわけで、いよいよユキとリッカの別れの日が近づいてくる今巻。
基本的にダメ人間な雪ではありますが、そんな彼が一人前(?)に働いて行けたのはリッカの存在があってこそでした。
ユキはリッカのことを保護者として支え、そして立夏はそんなユキの精神的支柱として支える。
そんな二人は、切っても切り離すことのできない関係かと思われたのですが……
そんな二人もとうとう、袂を分かつ時が来たようです。
リッカは無事試験に合格し、初めて見つけたと言ってもいい「やりたいこと」への道を進むことができるのでしょうか。
ユキはそんなリッカを支え、そしてリッカ離れができるのでしょうか?
二人の迎えるフィナーレを、是非ともその目でご確認ください!!

そして本編の他、本作のキャラクターの関係をより深く掘り下げる番外編を30P以上ドカンと収録!!
本編がクライマックスに向かってややシリアスに進んでいくため、本作特有のホンワカした雰囲気が少しだけ控えめだったりするのですが、この番外編ではそのホンワカ部分が思い切り詰め込まれております!!
滅亡寸前の世界で営まれる暖かな物語を、隅々までご堪能ください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!