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今回紹介いたしますのはこちら。

「この物語でネコに危害はいっさい加えておりません。」 羽生生純先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。



さて、様々なジャンルの作品を次々に生み出し続けて行く羽生生先生。
本作は動物を主人公にした漫画です。
羽生生先生の作品と言えば、その生々しい絵柄で描かれる人間同士の苦悩や愛憎、というイメージが強いのではないかと思われますが、タイトルからはどんな内容かうかがい知れない本作の内容はと言いますと……?



右目と左目で色の違う、所謂オッドアイの白猫、ナァ。
彼はそのオッドアイがお気に入りで、いつも自分の顔を見ず鏡に映しては、見惚れると言う毎日を送っていました。
そんなある日、突然母猫にこんなことを言われてしまいます。
お前はもう大人よ、うちを出て自分の家族を作りなさい。

突然感動も同然に親元を負いだされたナァ。
普通ならばへこんでみたり、途方に暮れてみたりするところで小。
ですがナァ、全く困る様子もなく歩き始めたのです。
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家族を作れ?
そんなの簡単だっつーの!
俺はこの色違いのイケてる目で、死ぬほどモテまくるからな!!

能天気にそんなことを考えていたナァですが、現実はそう甘くはありません。
突然大柄なトラ猫が現れ、ここはオレの縄張りだとナァを攻撃してきたのです!
わけもわからずやられてしまうナァなのですが、そこにまたも突然大きな乱入者が現れます。
それは……鍋やら剣道の防具なんかで武装した、人間の女性でした。
雲の子を散らすように逃げ出したナァとトラ猫ですが……人間は、なんだ野良猫か、とため息をつき、「おもち」という名を呼びながらどこかへと立ち去って行きました。
どうやら彼女は、自分の飼い猫を探しているようなのですが……
そんな彼女の様子を物陰から見ていたナァ、別れ際のお母さんのことを思い出してしまいました。
かあちゃん、別れる時泣いてたな。
それを思い出すとなんだか物悲しくなるナァですが……
初めての度と言うこともあるのでしょう、疲れからかそのまま眠ってしまうのでした。

ナァが目を覚ますと、あたりはすっかり暗くなってしまっていました。
うっかり寝てしまったことそうですが……なにより、お腹がすいてきてしまったことが問題です。
何か食べるものを探さなければなりませんが、その時ナァは背中に猫の視線を感じるのです。
まさかさっきの!?
いち早く逃げ出そうとするナァですが、その視線の主からかけられた声は、まって、おなかすいたよ、たすけて、という情けない声。
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振り返ってみてみると、あのトラ猫とは似ても似つかない、身体はナァよりも大きいものの、見るからに気弱そうな猫が震えております。
ここどこ、と泣きじゃくるその猫に近寄って行くナァ。
するとその猫、君の目かっこいいね!ところっと機嫌を直してナァお気に入りのオッドアイをほめちぎってきまして……!

すっかりその猫に気を許したナァ、その猫を子分扱い。
俺が何とかしてやる、とその猫の世話を焼いてやろうとするのですが、そこで先ほどの人間の女性が現れます。
するとその猫、女性に駆け寄っていき……
どうやら女性が探していた「おもち」は彼のことだったようです。
もう世話を焼いてやる必要もないでしょう。
おもちは女性に連れられ、「避難所」に向かうことになるのでした。
ですが、早くもお別れと思われたその時です。
女性の後ろに何やら黒いものが現れ
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女性をあっという間に捕食してしまったのは!!
……ナァとおもちの前に、女性の頭が落ちてきます。
黒いものは、気味の悪い口を動かし、いやな音を立てながら女性の体を咀嚼していき……
二匹は目の前で突然起こったとんでもない出来事を前にして、ピクリとも動けなくなってしまいます。
やがてその黒いものは女性を食べ終わり……
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二匹の方へ、向かってくるのです!!


と言うわけで、猫を主人公にしたお嫁さん探しの物語かと思いきや、一気にモンスターパニックものへと変貌する本作。
タイトルでは「猫に危害は加えない」と言い切っておりますが……
この状況で、ナァたちに一切危害が加えられないことなどあるのでしょうか!?
衝撃の幕開けを迎える本作、ここからが物語の本番!!
ナァとおもちの家族探しの旅は、どんな旅になるのでしょう……!

以前も「千九人童子ノ件」というホラー風味の作品を描いていた羽生生先生ですが、今度はモンスターパニックもの。
羽生生先生の画力は多少癖はあるものの、高いレベルにあるのは皆様もご存知の通りで、本作でもそんな羽生生先生の画力がしっかりと発揮されています。
怪物の気味の悪さはおぞましく、人間の死にざまは惨たらしく、猫はしっかり可愛らしく……
血飛沫跳びまくりのスプラッタな面もある本作、本当にタイトル通り「猫に危害は加わらない」の描きになる方もいるでしょう。
読み始めていきなりトラ猫にぶっ飛ばされるナァのシーンがありますから、タイトル詐欺かよ!と思う方もいるでしょうが……
この後のナァたちをはじめとした猫たちがどんな目に合うのかは是非ともその目でご確認ください!!
ナァたち猫だけではなく、人間たちのドラマも羽生生先生らしいどろどろで容赦ないシーンが次々に描かれていき、猫の行く末だけではない、手に汗握る物語が楽しめますよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!