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今回紹介いたしますのはこちら。

「アンデッドアンラック」第1巻 戸塚慶文先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


戸塚先生は13年にジャンプの新人賞を受賞しデビューした漫画家さんです。
その後19年に本作のひな型となる「アンデッド+アンラック」を発表、20年に本作の連載を開始しました。

そんな戸塚先生の初連載作となる本作は、いわゆる能力バトルものです。
ですがよくある炎を操るだとか、時を止めるだとかといった普通の能力とは違いまして……?




胸キュン必死の青春漫画の最終巻。
それを読み終えた少女、出雲風子は、うっすらと涙を浮かべながら本を閉じてつぶやきます。
さて、推しの漫画の最後も見届けたし、ここらで私も!!
終わりにしますか!!
風子が立っているのは、今まさに電車がやってくる線路をまたぐ高架の上。
なんと彼女、そこに身投げしようとしているのです!!
そんな彼女の行動に気づいた周囲の人々は、慌てて彼女を止めようとしました。
まだ若いんだからこれからいいことがたくさんある、と説得しようとしているおじさんに、風子は近づかれないように刃物を突き付けながら言うのです。
この漫画みたいなドキドキの恋したかった、でも無理なの、私の体じゃ。
だから死ぬ!
私の体に触れると、えっと、不治の病気に感染して、死ぬ!
こんな体で生きててもいいことない、でしょ?
だから死ぬの。
その言葉を聞くと、さすがに彼女に抱き着いてでも止めようと考える者はいなくなりました。
止められる可能性がなさそうなことを見定めますと、風子は線路のほうを振り返りながら、次の電車で行くか、と算段をするのですが……
その時、前方から何やらブスッという音が聞こえてきます。
前を振り返ってみますと、そこには
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風子が突き付けていた刃物に、自ら刺さりに来ている男がいるではありませんか!!
一番驚くのは風子本人です。
自分から刃物に刺さりに行ったほうの男は、痛みなど感じてすらいないかのようにふるまい、風子の顔をむにゅっとつかみました。
皮膚感染で死に至る病気?聞いたことねえな。
いいねぇ!最近自殺もマンネリ気味だったからよぉ。
どーだ、結構触ったぜ?
何が起こる?どこから痛む?
外か?内か?
にんまりと笑いながらそう語る男。
風子はその問いかけに、こう答えました。
くるよ……
不運が。
その瞬間、高架の男が立っていた部分だけがなぜか崩落。
そのまま落下し、ちょうど通りがかった電車に轢かれてしまったのです!!

風子は人身事故で停車した電車を見つめながら、後悔の念にさいなまれていました。
やってしまった、また人を巻き込んじゃった、私がぐずついてるばっかりに。
小さくごめんとつぶやき、うなだれる風子。
するとそこに……
あの男の生首が転がってきたではありませんか!!
それだけではありません。
その生首は思い切りしゃべっているのです!
なるほどなあ、病気ってのは危険を伝える建前か!
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いいね、お前もこっち側だな!!
そして、みるみるうちに体が再生し……
瞬く間に電車に轢かれる前の体(服以外)に戻ったのです!!

ゾンビか何かだと思って逃げようとする風子を、男はあっさりと捕まえ、人知を超えたジャンプ力を発揮して人気のない高層ビルの屋上へとエスコート。
そこで風子に、彼女がもたらす「不運」について教えろと迫ります。
最初は渋る風子でしたが、男の強引すぎる押しに負けて、彼女の最初の「不運」の記憶を教えることになりました。
それは、彼女が8歳の時のこと。
両親が1週間の海外出張に行くことになり、しばらく会えないからとたくさん抱きしめてもらったのだといいます。
その数十分後のことでした。
原因不明のエンジントラブルで機体は爆発炎上。
両親含め二百七十人が死亡……
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その事故をきっかけに、風子は自分と素肌同士が触れ合うことで、大小の差はあれど相手に不幸が降りかかることに気が付いたといいます。
それ以来できる限り肌を隠して生きてきた風子。
その悩みは計り知れないものだったでしょうが……
男は、今のところ一番大きい不運は「抱きしめる」ことで起こるのか、といったかと思うと、思い切り風子の服の中に手を突っ込み、生接触をしながら抱きしめる男!!
するとほどなくして……たまたま空を通りがかった飛行機から、積み荷のバナナの箱が落ちてきて男に直撃したのです!!
……なんだか思ったよりも地味な不幸ですが、とりあえずは男から離れることのできた風子。
男がまた動き出す前にその場から逃げ出そうとするのですが……なんということでしょうか。
箱から飛び出たバナナで滑り、屋上から真っ逆さまに落ちてしまったのです!!
自殺しようとはしたものの、まさかバナナの皮で滑って落下死とは。
突然目の前に迫ってきたリアルな死を前に、風子の脳裏によぎったのは後悔でした。
結局女の子らしいことは何一つできなかった、嫌だ、やっぱり私まだ……
その時です。
バナナの箱から脱出したあの男が、猛烈な勢いで風子を追い抜き、助け上げたのは!!
そして男は言うのです。
死なせるかよ、やっと見つけたんだ。
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俺に本物の、死を与える力!!
お前の最大の不運なら、このクソ長ぇ人生をやっとアガれるかもしれねぇ!!

そして男は、風子をアジトに連れ込み、不運がどうすればどんな規模で起こるのかの検証をはじめます。
最初はとにかく男から逃げることしか考えていなかった風子ですが、徐々にこの男が粗暴ではあるものの悪い人物ではないことがわかり、少しずつ慣れていくのです。
……が。
その実験の最中、突如男の首が切断されました。
男の首を落としたのは、数名のスーツの男たち。
彼らは男の首を謎のカプセルの中に封じ込めると、これで再生できないと言い出します。
続けてスーツの男たちは、風子に語り掛けるのです。
我々はあなたのような選ばれなかった「否定者」や、世に害するUMAを管理するものです。
それにしてもすごい能力だ、触れたものの運を否定し、殺す。
人殺しにはもってこいの能力だ。
……彼らは、風子のような特殊な……何かを「否定」する能力をもつ否定者を探し出し、とらえて管理研究、あるいは始末する組織の一員の様です。
スキのない死の否定者……あの「不死」の男を狙って行動していた彼らは、風子に夢中になって隙だらけになった瞬間を狙って確保した、というわけです。
そしてその手は今、風子にかかっていて……!!
不死の男は再生不能の状態に。
風子を助けてくれそうな人物は周りに入るはずもなく……
風子はこのまま、スーツの男に捕らえられて実感材料にされてしまうのでしょうか!?
それとも……!!



というわけで、「不死」の男と「不運」の女が出会って幕を開ける本作。
本作の能力は何かを否定する能力となっておりまして、不死の男はそのまま自分の死を、風子は他人の運を否定する能力を持っているのです。
スーツの男たちが所属している「ユニオン」は複数の否定者が在籍していまして、不死の男や風子のような危険な否定者を探し、殺したりとらえたりしています。
不死の男はユニオンの手から逃れながら死ぬ方法を探していたということのようですが……
再生不能のカプセル内に捕らえられてしまった彼は、そこから脱出することができるのでしょうか?
風子はスーツの男から逃れられるのでしょうか!?
「死なない」という能力と、その再生の仕方を利用する戦い方は、本作ならでは!!
この後本格的に悪を開ける、不死の男とユニオン、そして風子の戦いに注目です!!

そしてその独特なバトルシーンのみならず、個性的なキャラクターたち自身も気になるところ。
不死の男の過去には様々な謎が隠されているようですし、風子もその能力ゆえに今まで封じてきていた様々な感情を見せてくれます。
さらにこの後どんどんと他の「否定者」も登場。
今後活躍していくであろう彼らにも注目ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!