3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

カテゴリ: 弓月光

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本日紹介いたしますのはこちら、「瞬きのソーニャ」第1巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行されました。

作者は弓月光先生。
弓月先生は、68年にりぼん新人漫画賞(なんと第1回の!)を受賞し、デビューした大ベテランの漫画家です。
男性でありながら少女漫画誌を主戦場に活躍をしていましたが、82年に発表した「みんなあげちゃう」にて青年誌に、83年の「ボクの婚約者」で少年誌にも挑戦。
いずれも人気作となり、ドラマ化などもされました。
現在は90年から連載を開始し、今もなお連載が続いている「甘い生活」を執筆されています!

さて、本作は一人の少女に焦点を当てたアクション漫画です。
近年の弓月先生の作品としては珍しく、お色気要素はほぼ無しの、シリアスなドラマでみせるタイプの作品となっているのです!

1989年11月10日。
その日、ひとつの国を二つに別っていた壁が崩壊しました。
国中が大さわぎとなり、当然近隣諸国にも衝撃が走ります。
その頃、ソビエト連邦……当時のロシアのある研究施設で爆発事故が起こっていました。
……いあや、事故ではないようです。
その研究施設から歩き去っていく、老人と少女。
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老人は、少女の頭をなでながら、あの場所はお前が生を享けただけの場所でしかないから振り返るな、追っ手が来るのは時間の問題、これからどう生き延びるかが重用だと言い聞かせます。
無言で頷き、老人の後をついていく少女。
彼女とこの老人は何者なのでしょうか……?

軍人達が爆発した研究施設に駆けつけました。
ですが、見事な燃えっぷりでもはや消火は不可能。
しかも責任者はこれからのことを考えたのでしょう、既に自決した後でした。
監視カメラに記録された映像を確認してみると、やはり例の老人がこの事故を引き起こした様子。
この老人は、ザイツェフ中佐。
この施設の警備主任であり、かつては軍人達に様々なことを教え込む教官であった男です。
この件を担当することになったブーニン中尉が上からの指令を受け取るのですが、内容は少女は可能な限り無傷で捕獲、ザイツェフの始末は任せる、というものでした。
教官時代のザイツェフのことを知っているらしいブーニンは、この指令にいやな予感を感じます。
相手はたった一人の軍人、しかも子連れという大きなハンデを負っているというのに。

ザイツェフはやはり相当有能なようです。
雪に深々と残された足跡と、残されたにおいを犬を使って追う軍人達。
犬の足が、雪に埋められていた糸のようなものにひっかかると、その先には爆弾が仕掛けられており……
あちこちに仕掛けられている爆弾は、僅かに殺傷能力がそがれています。
死んでしまうより、生きている負傷者がいるほうが、追っ手の足は鈍りやすいのです。
さらにいいタイミングで雪も降り出し、追うのは更に難しくなったはず。
ザイツェフと少女は一旦倒木などを利用して自然のテントを作り、小休止を取ることにしました。
少女の体に凍傷の兆しなどがないか調べていると、その腕には「COH(SON)-1666I」と刻印されていました。
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そこでザイツェフは、その刻印から彼女に「ソーニャ」と名をつけました。
この先人と交わるなら名前が必要だから、と。
研究施設で生まれ、名を与えられていない少女。
ソーニャは一体なんなのか?
その片鱗は、追っ手から逃げる際でも欠かせない、食事を得るために行った狩りで披露されることになるのです。

大型の虎に追いかけられるシカの仲間。
猛烈な勢いで追う虎ですが、その虎をらくらくと追い越し、先を行くシカに飛び掛かり、木の枝による一撃で首をへし折ったのは……
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ソーニャでした!
獲物を横取りされた虎はのどを鳴らして威嚇してきますが、振り返ったソーニャの視線に負け、すごすごと立ち去っていきます。
虎が立ち去ったのを確認し、ソーニャはひょいをシカを抱えあげ、またも猛烈な勢いで走っていくのです。

人間の手は格闘に使うのにはやわすぎる。
木の枝、石ころ、使えるものは何でも使え。
その教えを護って狩りをしたことを、ザイツェフは褒めてくれました。
それがないときは、掌か踵といった硬いところ、と補足までするソーニャ。
話題は物騒ながら、二人の間には穏やかな空気が流れていました。
ですが二人は追われている身。
つかの間の平和はすぐに崩壊してしまうのです。
空気を劈くような鋭い音。
ソーニャはいち早くその音に反応し、ザイツェフを押して位置をずらしつつ、胸の前に木の枝を盾のようにかざしました。
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ですが、その音の主……銃弾はむなしく木の枝を貫き、そしてザイツェフの肩も貫通してしまうのです……!
ザイツェフは身を転がし、狙っているであろう方角から見ることのできない木の裏側へと寄りかかりました。
ソーニャには逃げるように命令して。

やがてブーニンたち軍人はザイツェフを発見します。
どうしてこんなことをしたのかと問いかけてくるブーニン。
ザイツェフは言います。
ベルリンの壁の崩壊は様々な余波を生み、おそらくソビエト連邦も数年で消えるだろう。
そうなれば、その前にあの施設とソーニャは始末されてしまうだろう……
国家機密であるソーニャのことは、中尉であるブーニンすら一切知りませんでした。
ザイツェフは、ソーニャをウサギと思って追っていたのだろうが、アレはウサギどころか虎以上の生き物だ、とにやりとするのでした。

その瞬間です。
ブーニンたちの背後から、ソーニャが高く高く飛び出してきました!
軍人達が振り向く前に、人数を確認。
振り向いたときには既に軍人達の懐にもぐりこんでおり、次々と頭を叩いて意識を奪ったり、腕や足を折ったり……
あっという間に軍人たちを無力化してしまったのです!!
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かろうじて立って会話が出来るのはブーニンただ一人。
ですがブーニンも、ソーニャが口に含んだ雪の塊を目に叩き込まれ、何も見えない状態になってしまいました。
ザイツェフはそんなブーニンの目を診てやり、右目は助かりそうだぞといってからソーニャの生い立ちを説明し始めます。
あの研究施設は、遺伝子を弄繰り回して人間の様々な可能性を模索していたのだそうです。
もちろん手探りなため、20万近い実験体が胎児まで行かずに死んでしまいました。
結局、人の形になったのはソーニャだけ。
人の数十倍の反応側を持ち、圧倒的な身体能力を持つソーニャ、その運動能力を支えるためか、小柄な体格なのに50キロを超える体重があるんだそうです。
それだけ教えると、もう追うなと言い残してその場を立ち去るザイツェフとソーニャ。
2人が生きていくには、生きていける場所を求めてさまよう旅を続けるしかないのです。
歩き始めて程なく、ザイツェフはソーニャに問いかけます。
逃げろといったのに、何故戻ってきた?と。
ソーニャはザイツェフの手をきゅっと握り締め、こう答えました。
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一人はもうイヤ、と……
ザイツェフは何も言わずソーニャを抱き寄せ、先ほどの戦闘についての駄目だしをはじめました。
中国に行くか、モンゴルに行くか……まずは生き延びる。
それがその旅の第一歩となるのでした……

というわけで、遺伝子操作によって生まれた少女の人生を描いていくことになる本作。
このあとの第2話で、物語はおそらく最後の結末になるであろう、ある程度時間の進んだ場面へとうつります。
そしてそこから、そこに至るまでの様々な出来事を回想していく、と言った形態のお話になるようです。
逃亡先の様々なところで、サマ挫生な人物と出会い、学び、あるいは狙われ……
ソーニャとザイツェフには完全に心休まるときは来ず、それでもささやかな安らぎを謳歌しながら、過酷な日々をすごすのです。
弓月先生の絵柄の都合上、アクションシーンはやや迫力に欠ける嫌いがあります。
ですが、丁寧な筆致で描かれたそれは、している行為の残忍さとのギャップを生み、迫力だけでは語れない印象を生み出しています!
かなりの超人振りを見せるソーニャにも、きちんと弱点が存在し、そこを上手にお話に絡めてくるところもさすが。
あとザイツェフの有能ぶりにもびっくりすること間違いなしですよ!!

非情な運命を生きるソーニャの日々を描く、「瞬きのソーニャ」第1巻は好評発売中です!!
単純な命のやり取りだけで無く、ソーニャの心の動きなども描写している本作。
今までの発表ペースが年2回程度だった上、掲載されていたビジネスジャンプがなくなってしまった状況を見るに、第2巻が出る日は相当先になりそうです。
コミックスのレーベルからして、グランドジャンプ系で発表してくれそうではありますが……
気になるところで第1巻が終わっているだけに、早く続巻が読みたいところなんですけどね!
とにかく、決して今風ではない絵や、弓月先生のほか作品の印象で避けるにはもったいない作品ですので、是非一読してみることをお勧めいたします!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


瞬きのソーニャ 1 (ヤングジャンプコミックスGJ)
集英社
2012-01-19
弓月 光

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