3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

カテゴリ: シヒラ竜也

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本日紹介いたしますのはこちら、「13club(サーティーンクラブ)」第2巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックス・ウルトラより刊行されました。

作者はシヒラ竜也先生。
シヒラ先生と本作第1巻は09年8月25日の記事にて紹介しておりますので、ご興味等ございましたらそちらも併せてご覧くださいませ。

さて、夜にも奇妙な物語的作品である本作は今巻で完結。
前巻から続いていたシリーズのほか、2編のストーリーが収録されています。

残酷な風習と衝撃の事実が明らかになり、後味の爽やかさと悪さを同居させたラストを迎える長期シリーズ「伽考」
、すがすがしいくらいのダメ人間がRMTをして設けようとネットゲームで悪企みをする「RMT」と言ったストーリーが収録されている今巻。
今回注目したいのは最終話でもある「笑顔」です。
メインとなる人物の優樹と言う少女は長くて3年という余命を宣告されていました。
そんな彼女には幼馴染で片思いをしている浩介という少年がおり、中学時代に知り合った少女の綾を含めた3人で仲良くすごしていたのです。
ですが優樹の入院をきっかけのその関係が崩れてしまいます。
そしてある日、優樹は綾が浩介に告白しようと思っていると打ち明けられてしまうのでした。

その場は浩介のことを「単なる幼馴染でなんとも思っていない、応援する」と取り繕ってしまう優樹。
ですが心の中では簡単に割り切れるはずもなく、もし2人が付き合うことになったら素直に祝福してあげられそうにありません。
そんな時優樹は幽伽(かすか)と出会いました。
彼女は都市伝説などを収集しているサイト「13club」の管理人であり本作の狂言回し的存在である九段の助手を勤めている少女です。
事情を聞いた幽伽は優樹にもう一度自分を見つめなおせと奇妙な携帯電話を手渡します。
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なにやら怪しげなサルの絵が描いてあるその携帯、あるところにメールで願い事をするととある代償を払う代わりその願い事が3つまでかなうのだそうです。
正直信じてなどいないものの、物は試しとばかりに「自分の病気を治してくれ」とメールした優樹。
翌日、優樹に巣食っていた病魔は奇麗に消え去っていたのです!!

元気になった優樹は街角で浩介と綾に出会います。
2人はなにやら宝石店から出てきたようで、そこでなにかを購入した様子。
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ふと脳裏に綾の「告白」が蘇り、優樹はその買い物が2人の関係が成立した証だと結びつけます。
逃げるようにその場を去った優樹。
心から二人を祝福するために、いまだ消えない浩介への思いを断ち切るために二つ目の願い「使い切れないほどのお金」を願うのでした。

地方の大地主であった大伯父の遺産が転がり込んだ、と言う形で手に入った大金で考え付く限りの贅沢をする優樹。
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2人を心から祝うことが出来るのが自分にとっての幸せだと信じて気を紛らわせようとしたわけですが、どんなことをしても浩介への気持ちは消えません。
涙する優樹の前にちょうど現れた綾は「連絡がつかずに心配した」と声をかけてきます。
もうどうしたらよいのか解らなくなっていた優樹は、3つ目の願いをつかいます。
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……あろうことか「浩介と綾が2度と自分の前に現れないように」という願いを!
あっという間に姿を消した綾。
そこにはあの時持っていた宝石店の包みが転がっていました。
その包みを開けてみると、その中には「YUUKI」と刻印された指輪と、一通の手紙が入っています。
手紙にはなんと「本当は両思いなのに進展しない優樹と浩介ををたきつけるために告白すると嘘をついた、それでも本音を言わないから優樹と浩介にペアリングを贈る」と書いてあるではないですか!
真実を知り、後悔の涙を流す優樹の前に現れた幽伽。
優樹は彼女に元に戻す方法は無いのかと泣き付きます。
幽伽は一つだけ選んでキャンセルは出来ないが全ての願いを無かったことには出来る、そして願いをキャンセルしても払った代償は戻ってこない、と語ります。
払った代償とは「願い一つにつき一年の寿命」!
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つまり願いをする前に余命3年となっていた優樹が願いをキャンセルすれば、その時点で明日にも死ぬかもしれない状態となってしまうのです!
かけがえの無い友人の喪失か、ほとんどその場での死か。
どちらも絶望と言える究極の選択ですが、優樹は迷うことなく選択をするのです……!


と言うわけで完結を迎えた本作。
蓋を開けてみればどのエピソードもなんだか救われない結末でした!!
こういった結末が納得できないと言う方も多いとは思いますが、一部に根強い「後味悪い話好き」にはたまらない作品となっています!!
話の内容だけでなく、九段&幽伽がミステリアスで謎が多い存在のまま正体や目的が判明しきらなかった……という主役的存在自体まで後味が悪かったりして、もう完璧(?)です!
イケメンブサメン美女美少女様々を描き分け、静動使い分ける確かな画力は物語をより印象付け、更なる後味の悪さを演出!
たっぷり後味悪さを味わうことの出来ますよ!

様々な奇譚が紡がれる、「13club」最終第2巻は全国書店にて発売中です。
とにかく後味の悪さが引き立つ本作、その手の好事家ならば必見、そうでない方も一見の価値ある作品ではないでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!


13club 2 (ヤングジャンプコミックス)
集英社
シヒラ 竜也

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