3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

カテゴリ: 閲覧要注意作品

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本日紹介いたしますのはこちら、「ハーレムエンド」です。
コアマガジンさんより刊行されました。
グロテスクな描写、ブラックなネタが多数含まれておりますので、閲覧の際はご注意ください。

作者は駕籠真太郎先生。
駕籠先生の他作品は、「駕籠真太郎」のテーマにてまとめております。
どれもがエログロな非常に人を選ぶ作品ですが……よろしければそちらもご参照ください!

さて、本作は近年の駕籠先生単行本描き下ろし作品の流れに沿った、エログロサスペンス漫画です。
そして毎回驚かされる大掛かりな仕掛けも健在。
今回はトリックや、奇抜な設定などよりも、異常な目的や犯行手段にスポットが当てられた作品となっています。

あ、前もって言っておきますと、今回は本編に裸などはたくさん出てきますが、それ以上のエロス要素はほぼありません。
その代わりと言っては何ですが、グロや以上描写などはいつにも増して人を選ぶものになっていますので、くれぐれもそのあたりをご理解のうえご覧ください!!

一年浪人した後、待望の大学生活を始めた伊藤。
クラスの親睦会に出席しますが、どうにも明るすぎるノリについていけないようです。
そんな中で、酔っ払って伊藤に絡んでくる女性がいました。
どうやら飲みすぎてしまった様子の彼女を介抱する伊藤。
眠りはじめてしまった彼女の世話を押し付けられてしまい、飲み会をなかば強制的に追い出され、彼女を家まで送り届けるハメになってしまうのです。
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学生証で住所を調べてみると、どうやらかなりおうちが遠い様子。
仕方なく自分のうちに泊めてあげることにしたのですが、彼女に方を貸して歩いている最中、幼馴染の田村に出会ってしまいます。
おすそ分けにきてくれたと言う田村、子供のころのように名前で呼んでといいますが、最近10年以上ぶりに再会した女性を気安く名前で呼ぶ度胸はありません。
とりあえず彼女と別れ、家に向かう伊藤。
そんな彼を、物陰から見つめているおかっぱの女性が……!
そんなことに気づかぬまま自宅ドアの前にたどり着くと、今度は伊藤をお兄ちゃんと呼ぶ小柄な少女が待ち構えていたではないですか!!
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なんでもこの少女、ナオは伊藤の父が不倫して出来た異母兄弟なんだとか。
ナオは母が死んでしまい、お兄ちゃんをたよってここまでやってきたんだそうです。

なんだか良くわからないまま、ナオのことも泊めることになってしまった伊藤。
なにやら誘惑しているとしか思えない行動を取るナオに、そんなつもりはないながらもラッキースケベが発動して押し倒す形をとってしまう伊藤。
するとそこで先ほどの幼馴染、田村が現われ……
このまま放っては置けない、監視しなきゃと彼女も強引に部屋に泊まりこんでしまうのです!
なぜかナオ、田村、酔いつぶれた女性の3人と並んで眠ることになってしまった伊藤。
ぶつくさ言いながら眠り、目を覚ますとなんかひとり増えてるじゃないですか!!
今度現れたのは、片目に眼帯をした女性で、言葉をしゃべらず筆談をしてきました。
ですがその台詞は、宇宙から来た監視員だよ、などと言うなんだか電波がゆんゆんしてきているもの。
もしかしたらアレな病院から出てきたのかも?だったら刺激しない方がいいかも、と田村と相談し、彼女をやむなく迎え入れることにしたのです。
ですがここにまた新たに女性が出てきちゃうのです。
ベランダからい当の部屋のベランダに侵入してきた女性、昨夜物陰から伊藤を見つめていたおかっぱの彼女でした。
親が決めたいいなずけがイヤで逃げてきた、15年前大きくなったら結婚しようと約束したあなたに愛に来たと言うこの女性……
やっぱり流れで伊藤は部屋に招きいれてしまうことになるのです!

酔いつぶれ女、なぎさは実家から通うと2時間かかるから、と伊藤の部屋にすむと主張。
放っておけない、と田村もお泊りセットで部屋に泊まりこみ、残りの三人もそのまま部屋に定住。
なにやらみんながみんな伊藤を欲しがっているようで、彼はいきなりモテモテの引っ張りだこに。
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これじゃ体が一つじゃ足りないよ……
そんな彼の心の声を聞いたわけではないでしょうが、女性達は
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伊藤を5つに「分けて」しまったのです!

この5人の女性はグルでした。
依頼を受けて女の敵を殺す復讐サイト、「ハーレムエンド」。
彼女達がその組織を運営していたのです!
殺害後の処理も手馴れたもの。
死体を実に丁寧に処理し、殺害の痕跡をほとんどゼロにして何事もなかったかのように去っていく……
そんな恐ろしい集団ですが、物語はこのハーレムエンドと、もう一つの恐ろしい集団とのリンクを描いていくのです……!

もう一つの恐ろしい集団、それは「フリッカーズ」と言うアニメ制作会社です。
大人気声優となりながら、男性がらみのスキャンダルから仕事が激減してしまった平原綾。
彼女の元にそのフリッカーズから仕事の依頼が舞い込みます。
彼女が連れられて、フリッカーズの社内で見せられたアニメは意外にも実写でした。
しかも、ひとコマずつ画像を撮影し、コマ送りで作るストップモーションアニメでした。
違和感を感じながらそのアニメを見ていると、横向きツインテールにしている魔法少女風のキャラクターが最近連絡が取れないと言う声優、松戸遥に似ていることに気がつくのです。
そしてそのアニメに、大きな顔の魔女オバケが登場し、春香似の少女の首をガブリ!
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生首がごろりと転がったのです!!

怪しすぎる映像を見て腰が引けた平原。
仕事を断って帰ろうとするのですが、動画まで見てしまったんだから返すと言うわけには行かない……と、閉じ込められてしまいます。
必死で逃げる平原、咄嗟に飛び込んだ部屋には
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奇妙な器具を取り付けられて、操り人形のようにされている死体が山のように……!!
やはりあのアニメは、死体を使って取られていたのです!!
逃走もむなしく、平原もまたそのアニメに参加朝せられることになってしまうのです……

と言うわけで、方向性は違えども、異常な方法で人を殺す二つの集団が登場する本作。
コマ撮りアニメを取りたくて、次々人を手にかけているフリッカーズ。
そして依頼があれば、ハーレムと言う絶頂を味わわせた後にどん底に叩き落して殺すハーレムエンド。
この二つの組織が予期せぬ形でぶつかり合うことになってしまうのです。
どちらも犯罪を明るみに出さなかった、プロ級の犯罪組織。
その殺し合いは壮絶なものとなります。
繰り広げられる互いの異常性の披露、容赦なき凶刃。
どちらが勝ったとしても後味がよろしくないであろうこの奇怪にして醜悪な争いは、どのような形で決着するのでしょうか……?
良くも悪くも駕籠先生らしい、モヤモヤしまくりのラストを見せ付けてくれるのです!!

そして今回の作品、既にピンと来ている方もいるでしょうが、実在のアニメやら声優さんやら監督さんやらのパロディがたっぷりと盛り込まれています。
ほぼもれなくアレされてしまうので、正直シャレがわかる方でないと許容できないかも……!
そういった意味でも上級者向けの作品となっているのです!!

そして180P超の描き下ろしの本編の他、「うぶモード」誌にて発表されたエログロナンセンス読みきりも5編収録。
こちらは本編に輪をかけてアレな作品になっておりますので……くれぐれも訓練された方のみがご覧になることをおすすめいたします!!

駕籠先生単行本描き下ろし長編第3弾、「ハーレムエンド」は全国書店にて発売中です!
帯に描かれている通り、「閲覧注意」「表紙詐欺」上等の本作。
表紙とは打って変わって、萌えられない……いや、萌えてはいけないような気がする内容ですよ!
今までの作品同様、エログロブラック何でもオッケー!と言う方以外は避けて通る方がいいでしょう……!
残された数少ない、よろこんで茨の道を歩む方は……さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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駕籠真太郎

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本日紹介いたしますのはこちら、「アナモルフォシスの冥獣」です。
コアマガジンさんより刊行されました。

作者は駕籠真太郎先生。
駕籠先生とその著作、「フラクション」の紹介は09年11月14日の記事にて紹介しておりますので、そたらもよろしければご参照くださいませ。

さて、本作は前作「フラクション」に続く、ホラー調のサスペンス漫画になっています。
流石の駕籠先生、他のサスペンス漫画には無い驚きの仕掛けを用意してくれている作品です!

ドッキリ企画、と言うものがテレビにはあります。
寝起きなり、目隠ししてどこかに連れて行ったりと、様々なバリエーションが見られるドッキリ企画ですが、実際はほとんどの作品があらかじめ打ち合わせをしての「ドッキリを装った企画」になっているが事実。
ですがそれが面白くないディレクターの矢島は、リアルなどっきり規格を作ろうと決意し、本気で何の連絡も無く1人の芸人を寝ているうちに拉致。
そのまま丁寧に怪獣の着ぐるみを着せ、ミニチュアの町に放置して「目が覚めたら怪獣になっていた」というドッキリ企画を決行したのです!
まんまと罠にはまった芸人は、着ぐるみ独特の視界の狭さなども手伝って、自分が怪獣になってしまったと言うドッキリを本当のことだと信じはじめてしまいます。
順調かに思えたその企画ですが、仕上げとばかりの「変身ヒーローが現れて怪獣になった芸人を攻撃」と言うシーンで使われた爆薬の量が多く、予想外の大爆発に。
中の芸人は無残な姿となり死亡してしまい、企画に関係したディレクターは左遷され行方知れずに。
レポーターはショックで退職、火薬をセッティングした特撮技師は責任を感じて自殺してしまったのでた。

……というあらすじを映像と共に説明された男女6人。
彼らは「アナモルフォシス」と言う、ゲームに招待された参加者達です。
このゲームは、実際の事故や殺人の現場を忠実に再現したセットで降霊会を行い、その空間で規定の日数を過ごしきることができれば賞金が出るというモノなんだそうです。
6人が映像を見た後案内されたのは、ドッキリ企画で使われた物のようなミニチュアの町と怪獣の着ぐるみ。
かなり大掛かりなセットで、参加者達は驚くばかりの規模でした。
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早速降霊会が行われると、ホントの霊のしわざか、これもセットのうちなのか……怪獣の着ぐるみが動き出し、俺はまだ生きているなどと叫んだ後、煙と共に忽然と消えてしまいます。
ゲームの主催者である平山と言う人物は、今はまだ空の着ぐるみに霊が入っただけだが、いずれ実体を持って暴れだすだろう……と参加者を脅し、用意された参加者の部屋に案内するのでした。

外部との情報を制限するためなのかテレビなどはありませんが、それぞれに部屋が用意されて入浴や喫煙、寝るのも自由。
備え付けられた窓口にお願いすれば、別階に居る係員がすぐに食事を出してくれ、至れり尽くせりです。
いつでも居ると言う平山の部屋を訪ねることでギブアップも可能で、失格の基準はそのギブアップか……参加者の死亡かだけ。
こういった密室モノの定番か、時間まで一緒に過ごさないかと言う霊怖がり派の提案もでます。
ですが6人の中には霊を信じている者も信じていない者もいて、ギブアップする人がいれば山分けの賞金が増えるからいやだと言う人や、見知らぬ人とずっと一緒に居るのもいやと言う女性などに押し切られて結局は別々に過ごすことになりました。

別行動になると、早速1人の男がミニチュアの町を覗きに行きました。
精巧にできている町に感心していると、なんとあの怪獣の着ぐるみが!!
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しかもなんだか明らかに大きくなっているように見えます!!
そしてその怪獣が「ミニチュアの車に轢き殺されるがいい」と呟くと、その足もとには本当に車が走っており…・・・無残にも轢かれてしまったのでした!

場所は変わり、今度は町をうろつく二人の人物にスポットライトが当たります。
CGを使った怪獣映画などをこき下ろし、あえて安っぽさすら感じる本物のミニチュアを使った特撮映画について熱く語るカントクと、それに着いて行って取材を手伝っている助監督です。
熱く熱く持論を語るカントクですが、その話はやがて白川と言うカントクの師匠的な人物との話題になっていきました。
その白川とは、なんとあのドッキリ企画の失敗で自殺をした特撮技師。
ですが「白川は事件の責任を取って自殺した」という噂を聞いたんだけどと切り出すと、カントクは血相を変えて「お前になにがわかる」食って掛かるのです。
ですが助監督は、この噂を知ったのもある噂がスタジオに広まっているからだと言い出しました。
それは「夜、巨大化した怪獣の着ぐるみが現れる」とか、「現れた巨大化した怪獣から逃げ出すと、実は怪獣が巨大化したのではなく自分が縮んでいた」とか、霊現象なのか都市伝説なのかわからないようなもの。
当の助監督も昨日の夜中に巨大怪獣が歩き回る姿を見たんだそうで、気が気ではないようです。
ですが2人はそんな話題を半ば強引に中断して取材を続行。
暑くてたまらない陽気ですが、不思議と歩いてきた道には自販機もコンビニも無く、人すら出歩いていませんでした。
妙な感覚を覚えながら、住宅街にぽつんとある空き地にたどりつくと
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不法投棄されたゴミに混じって死体があるではないですか!!
恐る恐るその死体の荷物を検めてみると、財布や身分証に混じってアナモルフォシスの招待状が……!
この死体、先ほど車に惹かれたゲームの参加者本人だったのです!

何も知らないゲームの参加者5人は、全員集まってからミニチュアの町へ向かいます。
霊感があると言う女性が、一人霊の存在を感じると言ってやたら怯えますが、ともかく姿の見えない先ほどの男を捜して、ミニチュアの街中をきょろきょろ探しながら歩きました。
するとそこで先ほどの男そっくりの人形を発見!
そうすると今度は霊感女が「それは彼本人だ!霊の怒りに触れてミニチュアカーに轢かれて死んだんだ!!」などと言い出した挙句、「今、目が動いた!」と大声を上げます。
男がその人形を拾い上げて調べようとしていたのですが、その叫び声にびっくりして人形を落としてしまうと、人形はリアルな血のりを撒き散らせるのでした。
そうすると霊を信じていた男が限界を迎え、平山の部屋に直行!
リタイアするよと扉を開けると、そこには
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内臓をはみ出させて死んだ平山の遺体があるではないですか!!
更に彼が持っているはずのカードキーもなくなっており、この部屋から出ることは不可能になってしまいます。
仕方なく食料を送ってもらう窓口に緊急事態だからゲームを中止してくれと叫ぶと、窓口から帰ってきたのは
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降霊してくれた霊能者と、最初に案内してくれた係員と思われる2つの生首……
パニックになった霊を信じている男は、「ボクは生き残るぞ」叫びながらミニチュアの町へ向かうと、そこで何かの影を見かけました。
もうわけのわからないくなった彼はその影に助けを求めて叫びます。
霊感女は突風のようなものを感じ、「気配を感じる、気をつけろ」忠告!!
本当に霊なのかなんなのか、5人に姿は見えていない様子ながら……本当に近くに怪獣の姿が……!!
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すると霊を信じていた男は何かに驚いたような叫び声を上げ、ミニチュアのような死体へと変わり果ててしまうのでした……!

そしてまたカントクと助監督は死体を見つけます。
やはりその死体は先ほどの霊を信じていた男のもの。
最初の死体発見のときも通報したのですが、警察の来る気配が無いので改めて通報すると、しっかりと電柱の看板の番地を見ていると言うのに「そんな番地は無い、イアタズラはやめろ」と言われてしまうのです。
もしかして噂のように自分達が縮んでミニチュアの町に迷い込んだとでも言うのか?そんな考えが頭をよぎり、混乱を隠し切れません……

次々と突然の死を迎えていくゲームの参加者。
まさか本当に霊が人間を縮めているのか?
そうだとすれば、なぜカントクと助監督はその町へ迷い込んでいるのか?
霊の仕業で無いとするならば、どんなトリックを使っていると言うのでしょうか?
数々の謎は、全て明かされます。
その驚愕の真相は……マジ一見の価値ありの衝撃的なものとなっているのです!!

というわけで、不可解な出来事の連続する事件を描く本作。
もうホラーとしか思えないような作品ですが、解決編(?)では全ての出来事に納得のいく説明が付けられています。
ただ、先ほど紹介した文の中の「近くにいる怪獣の姿」や、「ミニチュアのような死体」は登場人物の幻覚だったり、漫画演出的なイメージではありません。
じゃあ「霊だったよ!ならなんでも説明つくでしょ!?」という適当なものでは決してなく、現実に存在したものなんです!
ネタ明かしの部分を見れば、「そうきたか!」と驚くこと必至の、「漫画ならでは」の仕掛けに感心するしかありますまい!
じゃあ何であのシーンではあんな反応だったの?と思わず読み返してしまい、更にそのあたりも矛盾無い演出となっていることに2度びっくりすることうけあいです!!

表題作のほか、「うぶモード」というガチな成人向け雑誌で連載されていた短編も9編収録。
どれもエロかったりグロかったり不謹慎だったりブラックだったりする、本来(?)の駕籠先生らしい作品となっていますので、こちらは正直万人にはオススメできません!
かなりいろんな意味で上級者向けの内容になっていますので、あまりそれらに免疫の無い方は封印したほうがいいかも……
これらが許容できる方ならマジオススメですが、許容できない方も表題作は是非読んでみてほしかったり。
……難しいですなぁ……

本気驚かされる真相の「アナモルフォシスの冥獣」は全国書店にて発売中です。
繰り返しになりますが、前作「フラクション」とは違って「ねーよ!」というトリックは皆無で、度肝を抜かれる本気の仕掛けの数々が用意されている本作。
短編集はあんまりにも人を選びますが、表題作はグロ描写以外はそれほど問題のある描写はありません!
サスペンス好きな方は、137P~208Pの間をテープかなんかで封印してでも読む価値ありだと思います!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


アナモルフォシスの冥獣
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駕籠 真太郎
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本日紹介いたしますのはこちら、「フラクション」です。
コアマガジンさんより刊行されました。

作者は駕籠真太郎先生。
駕籠先生は88年にデビューした、独特すぎる作風で一部に熱心なファンを作り出した漫画家です。
グロいわエロいわ不謹慎だわ、とにかく特殊すぎる作品ばかりでして、耐性のある方でも鳥肌が立ちかねない狂気の世界が売り(?)。
荻野真先生のアシスタントも経験していたそうで、そういえば昔の孔雀王はもりもりモツが出てきたなぁ……と思いました!
直接関係あるかは分かりませんが!!

いつもはブラックなユーモアを交えたエログロで過激な作品を描いている駕籠先生。
今作でもそのあたりは変わりませんが、この作品は自身初となるミステリーとなっています!


世間を騒がす「連続輪切り殺人」。
4人もの女性が胴体から真っ二つに輪切りにされてしまうと言う非常に猟奇的な事件が世田谷区を中心に起こっていました。
その話題で盛り上がる喫茶ジャノワールの店員たちですが、いくら真相を追究したところで所詮は素人の一会話、たんなる雑談にしか過ぎない……はずでした。
その話題にもごく普通に受け答えしていた男性店員、東野。
彼は真面目で人当たりも良い青年なのですが、仕事仲間の食事の誘いを断ってまで映画を見に行く、ホラー映画ファンです。
その日もホラー映画を鑑賞し、帰り際に同じ映画を一人で見ていた女性に声をかけ、ちゃっかりと女性の部屋へとあがりこみました。
なんだただのイケメンか……と思いきや、シャワーを浴びる彼女を襲撃!
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手馴れた手つきで彼女を無惨な姿にしてしまうのではありませんか!
そう、彼こそが女性に対する嫌悪感から勝手な粛清を続ける……連続輪切り魔だったのです!

一方、漫画家駕籠真太郎は自分の作風に疑問を感じ、よりメジャーな雑誌に掲載できる作品を生み出そうと思案していました。
ですが駕籠真太郎からエログロをとったら何も残らない、とまで台詞に書いてある始末。
なにこの自虐……自分で言っちゃあおしまいですよ駕籠先生!!
というのはとりあえずおいておきまして、色々とあったのち
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エログロ脱却の意気込みむなしく、結局この路線のまま連続輪切り魔に関する漫画を描くことになるのでした。

そして件の輪切り魔、東野のもとに意外極まりない事件の一方が舞い込んで来ました。
なんと新たな輪切り死体が3体も立て続けに発見されたと言うのです!!
今まで事件はひと月おきに1人ずつと定期的におきており、今回は明らかに異常。
なにより犯人の東野自身まったく身に覚えがないのですから、模倣犯である事はほとんど間違いありません。
ですがメディアや巷では異常性やターゲットの類似などから同一犯と決め付けられてしまい、東野はなんとも釈然としない思いに取り付かれてしまいます。
手がかりをつかもうと、仕事仲間で推理好きの藤岡に意見を求めますが、直近に殺された3人が苗字などは違うものの実は三つ子だったのではないか……という事実が発覚したところで先輩店員にサボっているなと追い払われてしまうのでした。
ですがそんな事件を経て逆に二人に連帯感のようなものが生まれたのか、東野は藤岡の自宅に誘われます。
先ほどの先輩店員の出勤時間が犯行時間とぴたりと合致する……などという藤岡の推理を聞き、そのまま流れで藤岡の手料理をたのしんだ東野。
女性を嫌悪しているはずの東野ですが、なぜか藤岡に対しては嫌悪感も震えもおきません。
それを不思議に思っているうちにいつの間にか眠ってしまうのでした。

目が覚めると、藤岡がまだシャワーからでてきていませんでした。
不審に思って風呂場へ飛び込むとそこには
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二つになった藤岡の姿があったのです!
自分が寝ていた間に誰かが殺した……その誰かとはやはり藤岡に異様な執着を見せ、かつ疑われていたせんあぴ店員に違いない!
そう考えた東野は後日先輩を人気のない場所に呼び出し襲撃、事実を語らせようとするのですが、もみ合いの末頭部を打って気絶。
目が覚めると
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先輩店員があの姿となって転がっていたのです……


駕籠先生はというと自分が挑戦したいジャンルはミステリーで、その際には叙述トリックを使いたい旨を語っていました。
警察でも探偵でもなく、「読み手」を引っ掛ける叙述トリックは映像が見えている漫画ではやりにくいものの、工夫をすれば出来るのだと力説する駕籠先生。
思いつくいくつかの例を、「誰が台詞をしゃべってるのかぼやかす」「台詞のキーワードをはずして何をしようとしているのかを悟らせない」「コマの外に表示されているものが異常」など、とんでもないものまで含めていくつかあげるのでした。
その会話の中、駕籠先生は奇妙なことを言い出します。
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今まで目の前にいた女性に対し、「自分は6~8件目の輪切り殺人の犯人で、君がその被害者なんだ」と!!

ココから一気に解決(?)編となります。
駕籠先生の発言の真意とは?
東野に降りかかった得体の知れない模倣殺人の真相とは?
全てが明かされます!!
その真相では駕籠先生の目論見どおりしっかりと叙述トリックを使用!
……いや、完全に叙述トリックと言えるのかどうか実際怪しい気もしますが……叙述トリックが含まれているのは確かです!
謎が謎呼ぶ展開から怒涛の勢いで巻き起こるあんまりにもあんまりな、いや、駕籠先生らしさが発揮されたとも言える超奇抜な真相はもう驚くしかありませんよ!!

表題作「フラクション」に加え、再録2本を含めた読みきり作品が4本収録!
どれもがグロかったりエロかったり後味悪かったりその全部だったりするのですが、中でも再録ですが「隔靴掻痒」のトラウマ作製装置っぷりは特筆もの!!
ほんと参考画像を張るのも遠慮してしまうほどのキモさです!!
一応、虫が皮膚の下を……とだけ……

他にもユーモアを交えたキーワード解説や、「バカミスの第一人者」の異名を持つ作家、霞流一先生と駕籠先生の対談も収録!
ちょいとお値段は張りますが、200P超のボリュームでしかもそのうち描き下ろしが110P超という豪勢な仕様ですから納得です!

駕籠先生の新境地、「フラクション」は全国書店にて発売中です。
とにかくものすごく人を選ぶ作品(特に後半の読みきりは!)ですので、エロ・グロ・不謹慎・ブラックユーモア・虫、なんでも来いと言う方のみにお薦めします!
そのあたりにひとつでも引っかかる方はマジスルーでお願いいたします!
耐性のない人、現実と漫画の区別がつかない人なんかはダメ!絶対!!
逆にそこら辺全てOKと言う、修羅の道を歩む方ならばきっと楽しめるはずです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


フラクション
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ユーザレビュー:
駕籠さんの本格ミステ ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「芋虫」です。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行されました。

作者は丸尾末広先生。
丸尾先生は80年にデビューして以来、強烈な個性を放つ作品を発表し続けている漫画家です。
レトロな絵柄と性的にもグロテスクな意味でも過激な描写を得意とし、熱心なファンも多くついています。

本作はかの文豪、江戸川乱歩先生の同名小説を漫画化したものです。
当時から色々と話題になったらしい原作で、さらに丸尾先生が漫画家。
と言うことで非常に刺激が強く、差別的だと感じてしまう描写があるかとは思いますが、こちらではそういった意図は持っておりませんのでご了承の上ご覧くださいませ。

主人公の時子は戦争で武勲をあげる須永中尉の妻です。
彼女は結婚後子宝に恵まれず、養子をとっても病死してしまうと言う満たされない日々を送っていました。
そんなあるとき、須永はシベリアへと出兵します。
時子は夫が今までのように武勲を挙げ、さらに昇進をするのであろうと思っていました。
ですが夫は戦死こそ免れたものの、大怪我を負って帰ってくることになります。

内耳と声帯を損傷して聞くこともしゃべることも出来ず、四肢のすべてを根元から失うと言う惨たらしい姿となって……
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ショックを受けた時子は心神喪失状態になりますが、須永の兄夫婦の経済的支援や、上官から無料で宿を借りうるなどの支えもあって夫の世話を続けます。
食事から下の世話、そしてことあるごとに見せろ要求してくる自身の勲章とそれをたたえる新聞……
献身的に世話をする時子ですが、そんな彼女に須永はまるで動物のように猛烈な食欲と性的欲求をぶつけてくるのでした。

やがて時子は自分の介添えなしでは何も出来ない夫を「芋虫」にたとえ、歪んだ愛情……いや、情欲を浴びせ始めます。
あるとき、誰かが……自分がいなければ額に止まった蚊さえ追い払えない、何も出来ないと須永に侮蔑の声をかけていた時子。
須永はそんな時子を怒るわけでもなく、蔑んでいるわけでもなく、どこか遠いところをみるかのようなまなざしをたたえているのみ。
そんな瞳に時子は言いようのない憤りを感じ、
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驚くべき凶行に走るのでした。
この凶行をきっかけとして須永と時子の運命が大きく動くことになるのです……


原作が短編と言うこともあり、本作も140Pほどにまとめられています。
発表当時である1929年と言う時代を感じさせる、淫猥で背徳的、退廃的なムードをそのままに丸尾先生がその個性的な絵柄で更なる異様さを加えて新たな世界を作り上げられた本作。
なんとも言いようのない後味の悪さや不快感が充満しているストーリーもさることながら、丸尾先生の描くおぞましくも美しい幻想的な作画もすばらしいの一言!
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エログロ描写が激しい物が多いのでウチではちょっと紹介しづらいのですが……
とにかくその美麗作画を楽しむにふさわしい豪華なハードカバーに216x152の大型サイズ!
圧倒的存在感を有するカラー口絵も収録した豪華な一冊です!
読み手を不思議な世界に引き込んでくれることでしょう!

巨匠の問題作を現代の奇才によってさらなる領域へと踏み入れた「芋虫」は全国書店にて発売中です。
癖、と言う一言ではいえないほど好き嫌いの激しく出るであろう世界観ですので、万人にはとてもとてもお勧めできません。
それでも丸尾先生作品でしか味わうことの出来ない味を持っているこの作品、苦手な方でなければ抑えておきたいところではないでしょうか!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!


芋虫 (BEAM COMIX)
エンターブレイン
江戸川 乱歩

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