3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

カテゴリ : あさりよしとお

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本日紹介いたしますのはこちら、「あさりよしとお短篇集 毒入り <錠剤篇>」です。
徳間書店さんのリュウコミックスより刊行されました。

作者はあさりよしとお先生。
先生の作品紹介等は「あさりよしとお」のテーマでまとめておりますので、あわせてご覧いただければ幸いです。

さて、3月に刊行された「<カプセル篇>」に引き続いて刊行された本作。
メインとなるのは93~95年に連載されていたゲームやアニメなどの批評漫画、「重箱の隅」です。
1回2Pで様々なテーマに即して言いたい放題する漫画でして、最初はクソゲーやゲーム界の盛衰に関しての持論を展開します。
が、中盤は十数回使ってアニメ業界の内情を赤裸々に明かしまくるのです!
今でこそこういったアニメ業界内部の色々アレな部分と言うのはネットなどを通じ、マニア間では常識となっているも同然。
ですがこの漫画が発表された94年前後と言うネットなんかないも同然の時代を考えると、これだけズバズバ言えるというのはすごかったのではないでしょうか!
しかも公の雑誌で名前出してやってたわけですからなおさらです!
実際色々痛烈な意見も来ていたようですが……それもネタにしているあさり先生はさすがと言う他ありますまい!

勿論それ以外にも短編をぎっしりはいっております。
都内の中学校に通う(自称)フツーの女の子、築地野うなぎ14歳が友達の糠蝦(アミ)ちゃんとともにフリーダムででんぱゆんゆんな日常を送る「Let's go!うなぎちゃん」シリーズ3作を完全収録。
うなぎちゃんの前世は月の王女プリンセストリニティなんだそうで、黒猫のウナに導かれてなんか戦うことになります!
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要するにあの国民的セーラー服美少女戦士のパロディ作品……なのですが、あさり先生節をたっぷり効かせた非常にアクの強い作品に仕上がっています!

そして珍しい麻雀漫画、「宮本武蔵」「Mahjong & Dragons」といった変わり種もあります。
「宮本武蔵」は武蔵が剣術ではなく麻雀で身を立てていくと言う物語で、イカサマや小細工なんかを駆使して成り上がっていきます。
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当然ラストは小次郎との一戦で、得意技は勿論「つばめ返し」。
……このネタ描きたくてこの漫画描いたんじゃ……
武蔵は驚きの(?)一手で小次郎のつばめ返しを防いで勝利を収めるのでした!
「Mahjong~」の方はタイトルどおりD&Dのパロディ……というよりは、TVゲームのRPGのパロディ作品です。
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モンスターとの戦闘やら各種イベントやらが麻雀での対局に置き換えられている世界のお話になっています。

更に2~6コマの超短編の集合作「よりぬきヤードさん」がフルカラーで掲載。
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こちらは完全な一発ネタから電波を感じさせるネタ、更にブラック過ぎるネタなどが8篇詰め込まれた作品です。

そんな色々な方面の毒が入った作品が満載の中、唯一毒を感じさせない物語がこの「橋の下の超人」。
前後篇で展開するこのお話、橋の下で暮らすホームレスとそのホームレスを慕う少年、そして少年の姉を中心として進行します。
そのホームレス、実は自分が秘密組織に改造され変身能力を得たものの、逃亡して見つからないように隠れ住んでいると自称しております。
その子供好きのするお話を信じた少年が、そのホームレスのためにウチから持ち出したおにぎりや給食の残りなんかを差し入れています。
それだけならばまだしも、エネルギー源と称した酒まで買い与えようとするのです。
そんな弟の様子を心配した姉は、ホームレスに子供から金や物を巻き上げるようなことをするなと念押し。
ホームレスはそれを仕方なく受け入れるのでした。
ですがその夜姉がホームレスにもう近付くなと告げようとしたとき、既に弟は貯金箱を壊してエネルギー源を買いに行ったところでした。
しかも弟は運悪く町のチンピラに絡まれ、その酒を奪われそうになっていたのです!
大ピンチを迎える弟!
そしてそこに颯爽と現れたのは例のホームレスでした!
あっという間に変身して撃退……となるはずもなく、あっさりとボッコボコにされてしまうホームレス。
なんで変身して戦わないのかと弟に問われると、本気を出したらチンピラたちがただではすまなくなってしまうと言い訳をするばかりです。
弟はそれを信じるのですが、なにやら様子が変です。
降り出した雨に打たれ、もともと体の弱かった弟の体調が悪化!
あわてて病院に担ぎ込まれるのですが、最寄の小さな病院では手の施しようがありません!
車などでは間に合わず、頼みの輸送ヘリも天候不順で出動不能。
このまま神に奇跡を祈るしかないのか……
そんな時でもホームレスは
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自分が変身してもパワー以外はほとんど人並みでどうしようもない、と世迷言をのたまいます。
ホームレスと関わらなければ弟はこんなことにならなかった、と涙ながらに叫ぶ姉。
姉の言うとおりだと沈むホームレス。
そんな絶望的な状況に、奇跡が訪れるのです!


と言うように様々な毒に加え、ちょっといい話的な物語も収録した本巻。
単行本未収録作品がたっぷり収録され、あさり先生ファン必携の一冊となっています!
オールドなアニメ・ゲーム好きなら思わずうなる「重箱の隅」や、先生の作品では他にあまり見ない麻雀漫画といったレア作品も収録しておりますので、最近の作品しか読んだことのない方は逆に新鮮に読み進められるのではないでしょうか!

<カプセル篇>とは違った種類の毒が入った「あさりよしとお短篇集 毒入り <錠剤篇>」は全国書店にて発売中です。
今までなかなか見ることの出来なかった作品が多数収録されていますので、それらを一挙に読める本作は<カプセル篇>とあわせて一見の価値あるものに仕上がっております!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


あさりよしとお短篇集 毒入り錠剤篇 (リュウコミックス)
徳間書店
2010-04-22
あさり よしとお

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本日紹介いたしますのはこちら、「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」です。
徳間書店さんより刊行されました。

作者はあさりよしとお先生。
あさり先生の作品等は「あさりよしとお」のテーマにて紹介をまとめさせていただいておりますので、そちらもお時間などありましたらご覧いただければ幸いです。

さて、本作は短篇集とかかれているものの、完全な読みきり作品は1作のみ。
他はショートギャグの連作的な作品と、途中で連載中断された様子の作品が収録されています。

メインとなるのは本巻の半分以上を占める「メッチェンファウスト」。
ドラゴンHGなる雑誌で連載をしていたようで、おそらくはそちらの休刊にあわせての連載中断作ではないでしょうか。多分。

内容はこんな感じです。
ちょっと頭のあったかい女の子が
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見るからに怪しげな謎生物に寄生され人間の体が耐えうる限界以上の力を発揮できるように。
ですが本来頭ものっとってしまうはずの謎生物……敵性宇宙人が何らかの理由によってのっとりに失敗。
なんだか本人は勘違いしたまま既に宇宙人と戦っていた学ランの人物とともに、襲い掛かってくる宇宙人と戦うと言うお話です。
ミギーのアレを髣髴とさせるストーリーですが、中身はしっかりあさり先生節。
限界以上の力を発揮できるものの体自体は強化されておらず、パンチすると逆に手がぶっ壊れてしまったり、なぜか宇宙人との戦いが番長ルックでのタイマンだったり、敵の能力が意味ないにもほどがあるものだったりと独自の味を醸し出しております!

多少バイオレンスな描写はありますが、本書の「毒入り」と言うタイトルからすればそれほどでもない「メッチェンファウスト」。
ですがこれはほんの前菜に過ぎません!(3分の2近いのページ数占めますけど!)
本当の毒はショートギャグ(?)、「世界冥作劇場」にたんまり含まれています!

この「世界冥作劇場」、様々な名作を滅茶苦茶にアレンジしてしまうと言う……言ってしまえば割とよくあるネタです。
「フランダースの犬」「おおかみと七ひきの子やぎ」「ちびくろさんぼ」「赤毛のアン」をモチーフにした作品なのですが、バイオレンスなだけでなくもう電波的な何かを感じさせる怪作へと変貌!
「フランダース」ではネロがなんか悪魔っぽいものとともに芸術を求めて殺人を犯したり町に火を放ったりすると言うそりゃもうひどい話に、「おおかみと~」では勘違いから子ヤギ達が全員そろって哀れなことになってしまう話になってます!
これだけでも十分ひどいのですが、この後の2作にいたってはもう原形をとどめてません!
「赤毛のアン」はもうアンが電波垂れ流し状態でもはや「お話」ですらないんじゃないかと言う改変っぷり!
そしてなにより「ちびくろ~」のほうは当時物凄い勢いでバッシングされ発禁状態に追い込まれていた背景を逆手に取った毒どころじゃないネタになってます!
先ずタイトルからして「でかしろ○んぼ」!
そして主役の○んぼはくろいものが嫌いで、アリとかですら許せず踏み潰すんです!
それどころか黄色もきらいで、「せかいでいちばんえらいのはしろんぼさ」「きいろやくろやあかはこのよにいてはいけないいろなんだ」とまで発言します!!
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ひえー!あぶねー!!!
そんな彼がたどる結末もまたブラックで……あさり先生の凄みが迫ってくるようです!!
そしてこれを掲載したガロの覚悟の出来っぷりもすごいです……

この他、某豆腐屋さんの倅が峠をすごい急ぐ漫画のパロディ「プロジェクトT」、
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人体模型の内田洋行くんが童話の世界で好き勝手する「それゆけ内田くん」を収録。
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こちらも見逃せない問題作(?)となっています!!

毒入りの名に恥じない色々アレな作品を収録した「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」は全国書店にて発売中です!
4月には同<錠剤篇>の刊行も予定されており、そちらも今から楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


あさりよしとお短篇集 毒入りカプセル篇 (リュウコミックス)
徳間書店
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本日紹介いたしますのはこちら、「ASTEROID Miners(アステロイド・マイナーズ)」第1巻です。
徳間書店さんのリュウコミックスより刊行、コミックリュウにて連載されています。

作者はあさりよしとお先生。
あさり先生と過去作品「ワッハマン」の紹介を08年11月24日の記事にて記載しておりますので、そちらもよろしければご覧くださいませ。

さて、本作は今まで「まんがサイエンス」などで豊富な科学知識を披露してきたあさり先生が描く本格SF漫画です。
といっても超絶メカでドンパチやる類のSFではなく、どちらかと言えば日常物に近いつくり。
それでいて普通の生活を描いているわけではない特殊な作品となっているのです!

本作は宇宙での生活が現実となった時代での様々なエピソードが3編収録されています。
初めて宇宙に飛び立つ新米飛行士の話、小惑星で生まれ育った少年達が隠された謎の地区へと向かう話などの興味深いエピソードばかりが展開するのですが、今回紹介したいのは第1話の「宇宙のプロレタリア」。
宇宙での仕事にいそしむ青年の物語なのですが、ぱっとでる宇宙での仕事のイメージとは大分違う毛色の話になっています。

無人の野に立つ青年1人。
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こんなはずじゃないと叫ぶ彼が立っているのは火星の外側を公転している小惑星で、地球からの距離はなんと4億キロ超。
そして彼に課せられた仕事は「水を掘ること」でした。

そもそも彼がこの仕事につくきっかけとなったのは街中で見かけた「職場は宇宙」と描かれた求人広告でした。
面接を受けると自動操縦が発達した今は宇宙飛行に免許など必要なく、むしろ彼が趣味としている登山の経験の方が重要だといわれます。
そのことを問われると、8000メートルを超える山の登頂も経験しているらしい青年はその頂上での過酷さ……酸素濃度は地上の3分の1、気温は-35℃、強い紫外線に風……死の恐怖と隣り合わせであると語ります。
それを聞くと面接官はその生死がかかった場数を踏んでいる経験の方が生半可な知識より価値があると答え、青年の背中を押すのでした。
「空気の3分の2が減るところにいったんだから、あと3分の1くらい減るところへでもいける!」的なことを言って更に微妙な空気にはなるのですが!

実際はその3分の1が重要で、地球はその大気と地磁気によって太陽から来るエネルギーを軽減しています。
それが無い小惑星では太陽のエネルギーがもろに降り注ぎ、それを浴びれば下手すると死につながるのです。
そうすると必然的に生活の場は地下となるわけで。
そんな地下深くで青年がする仕事はひたすら水の掘削……ではなく、水を掘削するロボットのメンテナンスと、いずれこの土地で行われるはずの自給自足に備えての機械を作る機械の製造。
従業員は青年1人で、あとはそれをサポートするロボットが1体いるだけ。
いちおう会話の相手やら、娯楽用に本のデータが詰められていたりやらと気を使われてはいるものの、基本的にはぶっきらぼうで、いろいろ聞きたいことも教えてくれないいけずなヤツなのです。

まるで刑務所のような、閉鎖された空間での窮屈な日常に悶々とする青年。
ある時彼は自分が来た時には既にいなかった前任者がどうなったのかロボットに問いかけました。
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しかしロボットは個人情報は明かせないやら、ここにはデータが残っていないやらとはぐらかすのみ。
挙句に地表にはボコボコとケルンが積み上げられており、さながら墓標の様相を呈していて……
疑心暗鬼に駆られつつも相談する相手も居らず、ロボット相手にウサ晴らしをしつつ仕事を続けるしかないのでありました。

風邪を引けば未知のウイルスかもしれないから採決を忘れるなと告げられたうえ仕事を遅らせるなといわれる始末。
しかも隊長回復用のたんぱく質として差し出されたのは
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蚕……
上司に不満をぶつけようとしても距離が遠すぎてこちらの反応が届いてそれに対するリアクションが戻ってくるまでに50分、と喧嘩すら出来ません。
我慢の限界に達した青年はスケジュールなど無視して休みたいだけ休んで食いたいだけ食ってやると宣言し、非常用か何かの食物を探して家捜しを始めます。
すると見つけてしまったのは
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壊れたヘルメット。
これをみて青年はこの星から生還したものなど誰も居らず、あのケルンはやはり墓標なのだという考え方が確かであったとの確信を持つに至ります。
そんなわけは無いだろうと止めるロボットを制し、青年は宇宙服を着こんでどこかにあるであろう死体を捜しに外へ出ようとしました。
するとロボットは
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ゲートに体を挟み込んでまで外に出ることを阻止しようとするではないですか!
まさか本当にこの星は一生出ることの出来ない死の工場だと言うのでしょうか?
そして前任者は一体どこへ行ったのか?
すべての真実が明らかになります!!

とまあサスペンス的な締めで紹介を終えましたが、その真実は以外であるものの恐ろしい類のものではありません。
それでもびっくりするどんでん返しであることは確かです!
更にシリアスともコメディとも分別しづらいムードが宇宙と言う未知の場所の神秘さとそこはかとない寂しさのようなものを増幅させ、一層楽しめること必至!
このエピソード以外の話でもそれらの要素や、お得意の宇宙知識がふんだんに披露され、なんだか宇宙に関して詳しくなったような気になれますよ!!
勿論台詞の間やキャラのやり取りなんかのあさり先生らしい独特の空気も楽しめます!

単行本描き下ろしはなんと70P以上に及んでおり、物語が更に膨らんでいる様子。
台詞なんかも変わっているようで、雑誌掲載時に既読の方でも新鮮な気持ちで楽しめる一冊になっているのです!

あさり先生渾身のSF、「アステロイド・マイナーズ」第1巻は好評発売中です!
ドンパチもチャンバラもフォースもない、非アクションの超リアルSF宇宙ストーリーである本作。
あさり先生ファンのみならず、宇宙好きもそうでない方もきっと楽しめる作品に仕上がっていますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


アステロイド・マイナーズ 1 (リュウコミックス)
徳間書店
あさり よしとお

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