3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

カテゴリ : 高橋しん

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本日紹介するのはこちら、「花と奥たん」第1巻です。
小学館さんのビッグスピリッツコミックススペシャルにて刊行、ビッグコミックスピリッツにて不定期に連載中です。

作者は高橋しん先生。
90年にスピリッツでデビューし、93年に「いいひと。」を連載しブレイク。
ドラマ化(いろいろ確執があったようですが……)もはたし、一躍人気漫画化となります。
99年に連載を終了した後、00年「最終兵器彼女」の連載をスタート。
こちらも大人気を獲得し、アニメ化にOVA化にゲーム化に実写映画化と大反響を起こします。
この作品辺りからなにやら高橋先生の作品は人類滅亡とか世界破滅とか、そういうにっちもさっちも行かない状況で物語が進む作品が多くなってきたようです……
そのご週刊少年サンデーにて「きみのカケラ」を連載し、少年誌でも活躍。
特殊な連載形態をとり、雑誌では一応完結したものの単行本で大幅に書き足しをしながらまだ話は続いております。

さて、こちらの作品。
新婚の奥たん(『たん』は作中の表記です)
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が毎日奮闘しとびっきりの夕食を作って旦那たんの帰りを待つ、と言うお話。
毎回作られる料理はレシピ(いい加減ですが)と写真付きで解説されており、
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食材を求めて歩いた場所を写真付きでレポートしてあるなど、かなり様々な試みがされています。
写真も漫画のほうも非常においしそうな料理の数々が次々とでてきて、食欲をそそられたりも……

……と、この説明だと単なる料理メインの日常漫画のように思えますが、やっぱりそうではありません。
舞台は東京近郊……なのですが、その東京にある日突然巨大な花が咲き、東京は完全に周囲から隔絶されてしまっています。
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花の周辺がどうなっているのかは不明で、そこにはいって生還したものはいないと言う事実だけが存在。
そして旦那たんは花が現われたとき東京に仕事に出ていて……
花が現われて1年。
どうなっているとも知れない、いまだ帰らない家族を待つ者たちが住んでいる町に住む奥たんがやはり帰らない旦那を飛び切りの夕食を用意しつつ毎日待つ……そんな話なのです。

花が咲いてから周囲は植物に侵食され、酷いところは完全に森のようになって人が住めなくなっています。
なにやら人が住む事のできない悪影響があるようで、侵食された地域は封鎖されてしまいました。
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それに加え、花に影響を受けたのか、植物達がどんどん巨大化。
人間ほどもあるかぼちゃが取れたり、人の頭ほどもあるサツマイモが取れたりします。
不気味な巨大植物はどんな害があるかわからないと人々は敬遠し、作物は値段が高騰したり配給制になったりしているようで、人々は色の不安や、ふたたび巨大花が咲いてしまうではないかという不安にいらだちながら生活を営んでいます。
奥たんはそんな巨大植物も分け隔てなく料理し、それも一因となって周囲から反感を買ったりもするのですが……一応は同じ家族を待つ仲間と言う周辺住人とも仲良く暮らしています。
料理の食材の為に毎日冒険をし、様々な出会いを体験し、現実を突きつけられつつ……

というわけでこの「花と奥たん」は、一見牧歌的な漫画に見えてその実超絶鬱漫画です。
着々と崩壊していく日本で、何時帰るかわからない、きっと帰ってこない伴侶をけなげに待ち続ける……
そして植物に汚染された東京は壊滅状態で、政府はそれを隠している様子。
調査中その東京の荒廃振りを恐れて逃げ出した調査隊を「脱走兵」と呼んで執拗に探すなど、政府自体もなにやらきな臭い感じになっていて……
……高橋先生はいい話っぽくさらっと酷い話を書くからまいりますね!!
だがそれがいい!!
ユーモラスな日常描写に、おいしそうな食べ物と、健気で可愛らしい奥たんと、残酷極まりない舞台背景。
それらが交じり合ってなんともいえない、最近の高橋先生らしい漫画になっています。
今後の展開の予想をすることは難しいのですが、このままおいしそうな料理と酷い展開が待っていることは恐らく間違いないでしょう!
その時を覚悟しながらとりあえず今は奥たんを愛でることにしようではありませんか!

そして漫画の単行本としてもこの一冊はかなり特異なものになっています。
まず表紙は浮き彫りになっているかのような加工に。
本文もいい紙を使っているようで、持った瞬間わかるほど重い!
そのおかげかフルカラーのページが多数収録され、本文中にも一部(主に食材、料理)にだけ色がついているページがあったり
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と装丁的にも面白い試みがされています。
単行本につき物の真っ白なページもなく、隅々まで気合の入った一冊と言えるのではないでしょうか!

高橋先生の最新作、「花と奥たん」第1巻は好評発売中です!
ザックリ言えば奥たんが料理をするだけの漫画だというのに読めば読むほど恐ろしいこの感覚、是非とも体験していただきたいものです!
ホント、こういうのんびり恐ろしい話を描かせたら高橋先生の右に出る方はなかなかいませんね!
「最終~」等を未読でこの感覚をこれっぽっちも味わったことのない方にこそ、ぜひ一読していただきたいです!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!





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